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為す「術」の無い”永遠”の迷路

No.741
開始 2004/01/07 12:09
終了 2005/01/07 12:08
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ha?????

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頑張るのでよろしくお願いします!byきゆ

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きゆ

「術」第12話

『父さんはお前の味方だから』
『母さんを、憶えているか?』
  *
新聞部部室。
腕を組み、額に指を当て、必死に記憶の糸を探る。
あたしが雑木林の入口辺りで倒れていた理由。もちろん記憶が無いのだから、そうだったのだと沙紀の言葉を信じるしかない。
「むー・・・・・・」
呻きに似た声を上げる。
「・・・・・・・・部長?」
「む・・・・・」
「部長ーっ、部長・・・・・・・・??」
「・・・・・・・・」
「ぶちょおぉ・・・、反応くらいして下さいよ・・」
――ハッ、
今にも泣き出しそうな卓の声に、はっと我に返る。何故か反射的に椅子から立ち上がってしまい、同時に跳ね返った腕が天井を向く。
「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」
怒られる、と思って沙紀を伺ってみても、その表情に変化は無い。
いつもの、能面でも付けたかのような無表情。
途端に不安になり、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・沙紀?」
問う。
「・・・ん?」
「・・・・・・・・・・何でもない」
いつものままの返答に言葉を続けられず、無理やりに視線を背ける。
その様子を見た卓が身を縮こませ、
沙紀はずれた眼鏡を指で上げ直し、
あたしは行き場の無い手をそっと下ろす。
新聞部で初めての事態。
それぞれが黙りこくり、ただこの静寂だけを守る。
変に息苦しい空気を噛み締め、気付かれないように膝の上で拳を強く握る。
沙紀が紙を捲る音が一層大きく響く。
その右手の薬指にはいつもの包帯が巻きつけられてた。
いつだったっけ。・・確かあたし達が小6の時、いきなり怪我だらけで沙紀があたしの前に現れて。
荒い息を抑え、どす黒い壊疽になっている右手を左手で覆い、僅かに潤んだ瞳で、『隠して』って言った。
そんなまだ子供らしさの残る瞳は今では完全に失せている。
眼鏡の向こうの瞳は、この上なく厳しい。
そんなことを考えつつ、頬杖をついたままため息を付く。
「―――――――――――――――芳」
「―――っ!?」
が、突然かけられた声で掌から頬が滑り落ちる。
「え、な、何・・・?」
「・・・・・有紀。有紀、今日早退したらしいから帰って具合見てあげなよ。・・もう仕事はあんまり残っていないし」
「え、あ、・・う、うん。・・ありがと」
見るからに不自然な動作でお礼を言う。
「じゃ、今日はもう皆帰って良いよ・・・・・。丁度下校時刻まであと少しだし」
更に不自然な言葉の繋ぎ。
内心冷や汗をかきそうだったが、卓の強張っていた表情が一気に元に戻る。
沙紀も椅子から立ち上がり、軽く机の上を整頓する。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・あ)
何で沙紀は、有紀が早退したことを知ってたんだろう?
――でもそれを訊けるはずが無かった。
  *
「――――――――有紀?」
玄関に靴を投げ捨て、部屋にカバンを投げ込み、隣の部屋の前に立つ。
「早退したなら言えっての・・。・・・有紀?有紀ー?」
しん、とした家。
まるで人が居ないような、まるきり人気の失せた家。
漂う不気味な雰囲気に、思わず体が固まる。
「・・・・有紀、どした?・・そんなに具合悪いの?」
相変わらず返事が無い。
「・・入るよー・・?」
とりあえず許可を取り、ゆっくりとドアノブに手を伸ばす。
何故か震える手で何とかドアノブを掴む。
僅かに掌に滲んだ汗でドアノブが滑りそうになり、ぐっと力をこめて握る。
恐る恐る回し、ぎい、というドアの軋む音が響いた。
「――――――っ――――!!」
僅かに開いたドアから溢れ出す、生臭い臭い。
咄嗟に鼻から口を手で覆うが、ノブを掴んだ手は吸いつけられたかのように離れない。
「―――――――!!!」
声にならない悲鳴が上がった。
軽く意気込み、震える息を吐き出す。同時に背筋に冷たいものが走る。
――――――バンッッ
勢いよく開け放ったドアから、一気にあの悪臭が漂う。
鼻を抑えても意味が無いほどに強い臭い。
血生臭い。
嗅覚を刺激するその血生臭い臭いが、吐き気を呼ぶ。
「――――――――――っ・・!」
硬く閉じていた目を開く。
部屋一面の赤が、視界に広がった。
[No40] 2004/02/03 18:01info


「術」第11話

何も無い視界に、突然飛び込んで来たモノ。
淡い紅色の瞳をいとおしげに細め、僅かに口元に微笑を浮かべた少女の顔。
そして酷く寂しげで、何かを訴えているようで、そして何処か儚い笑み。
が、刹那表情は前触れなしに一変し、敵意に満ちた視線があたしを貫き、次の瞬間には消える。
(・・・・・・・・?・・・?)
完全に動転した頭はハッキリしない。ただひたすらに体を起こそうとするのに、金縛りに遭ったかのように動かない。
―――くすくすくす
人を嘲笑うような笑い声。普段なら絶対にあたしは怒っているはず。
なのに、もうどうでもいい。怒りも哀しみも、感情さえ放棄する。単純に興味が無い。
そんな最中(さなか)鈍っていた感覚が一気に蘇る。
(―――――――――!!!!!!!!)
同時に強烈な痛みが体を走り、悲鳴を飲み込み眼を見開く。
(・・・・・・・・・・・・・)
「・・あ。・・気付いたね」
ぼやける視界。そんな中に微かに見える、メタルフレーム。
見覚えの有るそれに、反射的に体が起き上がる。慌てて横を向くと、そこには無感情な表情を浮かべた沙紀が居た。
「・・・・・・え?」
「え?じゃないよ、ったく。アンタ今まで何してたの?」
「・・・・・・・・・・はぁ?」
「・・・・・・・・・・・」
素っ頓狂な声が自然と上がる。
あたしのそんな声に、沙紀の眉間に皺が寄り、呆れたように足を組みなおす。
「・・言い訳だけなら聞くだけ聞くよ?」
「え、あ・・、えっと、その。・・しゅ、取材??」
それしか思い当たらない。
「・・・・・・・・・・・」
更に沙紀の表情が険しくなる。
元々沙紀が持つその有無を言わせないオーラと怒りの表情が混ざり、あたしはじりじりと身を少し退く。
「じゃあ聞くよ。―――たった1つの特集の取材で、アンタは何であの雑木林の入り口に倒れてたのかな?」
完全にあたしを追い詰める沙紀の言葉。
「――――――――――え!!!???」
唖然として怒った沙紀を見たまま、ぽかんと開けていた口が急に叫びだす。
どんどん早くなる鼓動。冷や汗が頬を伝う。
ぎゅ、と握り締めた掛け布団に汗が滲む。
「記憶喪失なんて言うつもりじゃないだろうね?」
言う沙紀に、あたしは確信を持ち、
問う。
「―――あたし、何で倒れてたの?・・」
はぁ?と沙紀が間抜けな声を出す。
記憶は曖昧だけど確かに有る。
特集を雑木林に決めて、沙紀が行けなかったからあたしだけで行って、雅・・っていう子に会って、何故かクラスメイトの市原に会って。
・・それで何か唄が聴こえて、雑木林が歪んでって―――――・・・・
(・・・・・・っ!!!!)
何か良く判らない衝撃が体を走る。
思い出せば今でも震える。・・あの異常な雑木林の中の雰囲気。
壊れてく雑木林の中、市原と走って逃げて。
突然市原の手があたしの視界を遮って・・・・・・?
それからだ。憶えてない。
不思議そうな顔をする沙紀をちらりと見やり、痛みの走る左手を持ち上げる。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
手首の裏。
じっと痛みの源を視線で探っていくと、1つの傷が目に入った。
袖を静かに下げると、傷が堂々とさらけ出される。
「・・・・・・芳?」
「あ、何でもない。ごめん」
それだけ言って、素早く袖で手首を隠した。
  *
「――――――――――来てくれると思うよ・・・」
ふふ、と楽しげに笑う少女。
長い長い漆黒の髪を空気に靡かせ、口元に手を当て笑う。
何かを期待するように、笑いながら。
「―――"永遠"を望むなら、堕(お)ちるだけ堕ちてみなよ。・・私が全力で応援してあげるから」
顔ごと横を向く。
訝しげな表情を浮かべ、敵意に満ちた視線を雅に送る圭が居た。
[No39] 2004/01/30 17:35info

きゆ



きゆ

「術」第10話

「・・・・・・・・・・」
卓はただ黙り込んでいた。膝の上で拳を握り締め、見るからに居心地悪そうに俯いていた。
前には、卓とは違いひょうひょうとしている沙紀。
そして、やっとの事で卓が口を開く。
「・・あの、青桐部長・・・・・、大丈夫ですかね」
「さあね」
沙紀があっさり会話を切り捨てる。
昨日、雑木林の何かに酷く怯えていた表情はもう無い。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
現在芳が組んでいる特集以外の記事。
沙紀は天才的な早業で他の記事を書き上げ、芳さえ戻ってくれば、もう校内新聞が発行できる状態。
「―――――――――――芳。・・遅いね」
「はっ、はい!」
「・・・・・・・・・」
「な、何ですか?」
「・・いや、アンタもうちょっと冷静にしてられないの?別に良いけどさ」
「あ、す、すいません・・・・・・」
「謝らなくても良いって」
卓が身を縮こまらせる。
昨日あんなに怯えていたところを目の当たりにし、卓はどうにも今の沙紀が不思議に思えてしょうがない。
が、聞くのは何故かいけないと思った。
「―――――――――あ、」
「ん?」
「右手・・・、そういえばいつも包帯巻いてましたけど、怪我、酷いんですか?」
何気なく気になっていた事。
一瞬沙紀の顔が強張り、そしてそっと息を吐く。
「あぁ、これはね。・・私が小6の時だったかな、怪我したのは。酷い壊疽(えそ)になってるんだよ。・・・利き手じゃなくて助かったけどね」
「・・・・・・・・どこでそんな怪我したんですか?」
きょとん、と首をかしげる卓。
沙紀は静かに卓を見やり、口元に僅かな笑みを浮かばせ、
「――――――――――――”何処”でだと、思う?」
そう言った。
  *
(――――――――――・・あ、)
あたしの手を引っ張っていく市原の手。
使い物にならないあたしの体を必死の形相で引っ張り、何処かへと走ってく。
感覚が鈍る。
理由は判らないけど、ただ単に、体が上手く動かない。
聴覚、視覚・・・とにかく全身の感覚が吸われてくみたいに。
―――がくん、
「――――――――っ!!!!!」
足が前触れなしにもつれ、市原の腕に倒れこむ。
「―――!!!」
「・・!!!!」
危うく転びそうになった所で掴んだ腕が途端にビクッと跳ね上がり、市原があたしの肩を掴んで支える。
無理に、腕から遠ざけた。
(・・・・・・・・・・・・・・)
「いいか?アイツの唄は、まず聴いた奴の感覚を鈍らせてく。――けど、唄には少しだけ弱点が有る」
「アイツの唄には、余計な”人間”の感情が混ざりこんでる」
「・・・・・・・・・・!?」
冗談ではないと思った。
やけに真剣な瞳をした市原は、壊れてく雑木林を諦めているようで、そして何かを決心したようだった。
気付けば震えが収まっていた。
掴まれた肩に熱が伝わり、一瞬だけ、本当に一瞬だけ、世界の時が止まった。・・そんな気がした。
「・・・・・・・ゃびは、」
「?」
「雅は。・・・雅は何処!?」
「!!!」
市原の顔に険しさが増す。
悔しそうに舌打ちをし、強張った表情のまま、あたしを睨む。
刹那、市原の手が顔にかざされ―――――
視界が、途切れた。
  *
白。
・・・白、い。
閉じたはずの瞼。
なのに、瞼から透けるように周りが白く見える。
変に気が重く、瞼を開けることさえどうでもいい。
・・・あたし、どうしたんだっけ?
確か取材をしに雑木林に入り込んで、雅とかいうコと市原に逢って・・・・・何か綺麗な唄が聴こえて。
『―――――――・・』
誰かが喋ってる。
全身の感覚が無い。今どうしてるのかも判らない。
けど、白い。
一体、誰がなんて言ってるんだろう?
聴覚がまるきり働いてない。視覚も働いてない。体も、動かない。
―――――が、刹那、急に現実に引き戻されたような感覚が体を走る。
例えるなら、突然夢から覚まされたような感覚。
「哀れな、人間」
その一言が、ノイズ混じりで聴こえた。
[No38] 2004/01/29 17:17info


「術」第9話

「人間」の温かさが、今は酷く恋しい。
当たり前にあった温かみが、この雑木林では完全に失せていた。その上、雅にも市原にも人間離れしたようなオーラがあって、温かくなんて無い。
「・・・・・・・・ちょ・・っ、誰!?誰・・・!!??」
「判んないのかよ」
取り乱して慌てるあたしにキッパリと告げる市原。
とにかく、心臓が飛び出しそうだった。
唐突に響いた笑い声は止まなくて、その刹那空気がぐにゃりと歪んで。
普通ならありえない光景だった。
「―――――――っ!―――――――――っっ!!!!」
叫びたいのに、声にならない。
―――ぐにゃり、
見えないはずの空気が歪むのが、何故か肉眼で分かる。
がたがたと震える体を抱え込み、落としたカバンが地にぼごっと嵌る。
「―――――っえ!!??」
落ちたカバンが地にごぼごぼと飲み込まれてく。
うねりながらカバンを飲み込んでく大地は、浅黒くて、恐怖を煽る。
「・・ちょ・・・・っ、や、だ・・・―――――!!!!」
がくん、と足がもつれる。
恐くて。恐くて恐くて恐くて。
足は棒になり、市原の腕を掴んで何とか立っていられる。
―――ぐね、
次は巨木が歪んだ。
空気と混じるように巨木達が形を変えてく。
「―――――――――――――ひっ・・・・!!!」
震えながら伺った市原の表情は、真っ青だった。
青白い顔をして、軽く俯き立ち尽くしている。
恐い。
恐い恐い恐い恐い。
がちがち、と音を立てて奥歯が震える。その音がリアルに頭に響く。
思わず強く握り締めた市原の腕は、体温が無いみたいに冷たい。
「・・・・・・・っ!?」
鳥肌が立った。
本能が危険だと告げている。単純に、”危険”だと。
「―――――――――っ、――走れッッ!!!!!!!!」
「っえ!!??」
死にたくないだろ、と市原があたしの手を引っ張りながら付け足す。
「ぅそ、やだ・・・・・・・っ、走れな・・・・・・っ」
走れない。
感覚が足の裏から大地に吸い込まれてくみたいで、体が動かない。その上恐怖で平常心が保てない。
「ちょっ、無理・・・・―――!・・・何なの、・・・・・どうなってんの!!!???」
叫ぶ。
本当に今更、な問い。
(――――・・・・・)
が、刹那市原の表情が険しい物になる。
睨むような鋭い視線をあたしに向け、掴んでいた腕を乱暴に振り払う。
「――――自業自得だ。・・憎むなら、自分を憎むんだな」
「・・・・・・・・・・・・」
―――ぼごっ
大きな鈍い音がして反射的に振り返ると、そこには大きな穴が空いていた。
その穴のすぐ後ろには、雅が立っていた大きな大きな大木。
「―――――――――――わ、わ・・・・・っ!!!!!」
叫び声にならない。
 ―――「異界」が喰うは「地上」の空気
     「異界」が望むは「地上」の破滅
     「異界」が躍るは「地上」の大地 ―――
唄、だった。
破壊されてく雑木林に、凛、と響く唄声。
「――――――聴くなっ!!!!!!」
「っ!?」
「死にたくないなら、聴くんじゃねぇ!!!」
途端に叫んだ市原の忠告をとりあえず聞き入れ、耳を塞ぐ。
恐い。
一体、どうなってるの。
・・それを問う事は、出来なかった。
[No37] 2004/01/24 13:05info

きゆ



きゆ

「術」第8話(圭視点・回想です)

『圭。お前は絶対人に怒るな、妬むな。父さんと約束してくれ』
俺がまだ3,4歳の頃だった。
親父が口癖のように言っていた言葉。
幼い俺は、言葉の半分も理解できなくて、聞くたびに首をかしげては『怒らなければ良いんだ』と幼稚に解決させていた。
違ったんだ。
それは、違っていたんだ。
そしてまだ、親父の口癖はもう一つあった。
『母さんを、憶えているか?』
それだけ。
ただ一言、記憶の確認をしては辛そうな眼をする。それが子供心に酷く痛い。
正直自分の母の顔はあまり憶えていない。
強烈な何かがあって、思い出したくなくて、でもやっぱり小さい頃は憶えてて。
今は歪な記憶で、とぎれとぎれの顔と言葉だけ。
『私はね、私は貴方を大切にする自信が有る』
誇らしげにいつも言っていた言葉だけ。
母親はもう居ないけれど、でも親父と同じ口癖が、あった。
『母さんは貴方の味方だから』
『父さんはお前の味方だから』
”敵”が誰なのか、何故そんなに味方ぶるのか、全く分からなくて。
ああ、もう、何が違ってて何が合っている?
答えは無くて、その代わりに無限の問いだけが存在してる。
単純に、逃げたかった。
計画実行日は、俺が10歳の頃。
逃げた。走って走って走って走ってとにかく走って、逃げた。
荷物もろくに持たず、ただこの息苦しい"呪縛(じゅばく)"から逃げたくて、走った。
いつも何かに見張られていた。
もううんざりだ。
そんな時、だった。
 ―――「異界」が喰うは「地上」の空気
     「異界」が望むは「地上」の破滅
     「異界」が躍るは「地上」の大地
唄、だった。
少し歪で古風な唄。
空気を震動させて響く唄を思わず聞き入り、気付いた時には全身の感覚が失せていた。
体が動かなくて、そして前には1人の少女が居た。
俺と同い年かそれより少し幼いくらいの少女。
長い髪と淡い紅色の瞳。
『・・・・・・・・・・・・・・・誰?』
『私に、名前は無いよ』
おそるおそる聞いても答えは呆気ない。
”唄”を謳(うた)っていたのはこの少女だ、と本能が告げる。
『何で此処に居るの』
身動きもせずじっと俺と見やる少女に、一言言った瞬間だった。
世界が破裂し、そこには少女が先ほどまで居たという証拠も無かった。
少女を中心にして、世界が弾けた。
唖然と立ち尽くしていた俺は、遠くから聞こえた俺の名前で我に返る。
迎えに来た、父親、だった。
何故か両親は泣いていて、俺も何故か泣いてしまった。
「人間」の温かさを実感した時だった。
親は何も聞かなかった。
だから俺も何も言わず、家に帰る。
帰ると、親父の口癖の回数が減っていった。
親と子の会話が、日々に薄れていった。
でも、やっぱり、
『父さんはお前の味方だから』
この言葉だけは無くならなかった。
[No36] 2004/01/23 17:02info


≫読者ですさん

こんにちはっ!
あ、『くすくす』と『乾いた笑い声』ですか・・。
何度も読み直してみたところ、確かに多かったですね;ただ単に雅の笑い方の特徴を強調したかっただけなんですけど、本当に多くなってました・・・・!
アドバイス(?)、本当にありがとうございますっ!
HNがすごく嬉しかったですvvこれからもよろしくお願いします^^
何かあったらまたおっしゃって下さい。ではっ!
[No35] 2004/01/23 16:39info

きゆ



読者です

。。。

『くすくす』と『乾いた笑い声』という言葉が多いですね。。。
感想です。
つまらないというか。。。
[No34] 2004/01/20 18:29info


切れてしまいました・・すいません(汗

「おい、念のため聞くけど・・・・。青桐、お前、此処に来て俺以外の誰かに遇ったか?」
「・・・・・・あ、遇ったよ・・?」
「っ!!!!」
市原が、苦虫を噛み潰したような顔をする。
理由は判らなくて、あたしはそのまま立ち尽くすだけ。
一筋の風が吹く。
木の葉が揺れる。
雑草達が揺れる。
空気が轟(とどろ)く。
「・・・・ッそれじゃ手遅れじゃないかよ!!!!」
「―――――――!?」
市原が叫んだ。
「・・・手遅れって、どういう意味・・・・・・?」
刹那、
―――――くすくすくす・・・
酷く乾いた笑い声が響いた。
瞬時に市原の顔が青ざめる。
「なっ・・・・・!?」
「・・・・・こういう、意味だ」
――――くす・・・くすくす・・・くす・・
尚も響き渡る笑い声。
酷く乾いた、鳥肌の立つような声。
何が起きているんだろう。
何が、あたしのあの"わだかまり"は、何を意味してたんだろう?
[No33] 2004/01/20 18:20info

きゆ



きゆ

「術」第7話

――――がさっ・・・・っ
「・・ちょっとあたし、何か見てくるよ」
「え?大丈夫?・・でも、動物じゃないよ。人間だけど・・?」
「―――っ!?」
『人間だけど』
そう確定する理由は、今の所全く無い。
ただの音だけなのに・・?
思わず、雅の発言に固まってしまう。
無理に息を飲み込む。何故か酷く喉が渇いていた。
「いや、あたし平気だし。うん、人間だったら誰か見てくる」
「・・・・・・・・」
  *
「っと・・・。何でこんなに雑草がはえてんのさぁ・・」
雅を1人置いて、あたしは音のする方へ足を進める。
藪を踏み分け、雑草を掻き分け、前を覗き込む。
湧いてきたアリが靴に上りこみ、あわてて追い払う。
―――がさ、
草の音が大きくなる。
すうっと息を吸い込み、適当に大きな声で呼ぶ。
「おーーい、そこに居るの誰ーーー?ちょっと出てきてってばー・・・!!」
――――がさ、
「ったく、誰だよも――――っっっ!!!」
返事が無く、単純に怒って声を荒げる。
がさがさと乱暴に草を掻き分け、音のする方へ完全に飛び出た。
「――――――――――っ!!!!!」
「・・・うわ、わ――――――!!!!」
驚いた声が2人分、響いた。
勢いよく飛び出し、そこにいた人物と激突してしまった。
「ちょ・・・っ、誰なのさ一体!!」
ぶつかった頭を抑え、一体誰なのかと顔を上げる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・あ」
声。
僅かに声変わりした、微妙な高さの声。
少しだけ毛先の跳ねた黒髪。
真っ直ぐな空気に溶け込む瞳。
見覚えのある顔。
「・・・・・・・市原・・??」
「は?お前なんで俺の名前知ってんだよ」
「――っ!?何でって・・、あたし一応アンタのクラスメイトなんだけど!!??」
「・・・・・・・・・・え」
「・・・た、多分」
まるで覚えの無い市原に自信を無くし、あたしは自信の失せた言葉を付け足す。
でも確かに居た。
沙紀と教室で喋ってる時、何か先生と話してた市原を。
けれど、正直な所喋った事は無い。これが初めてだ。
「・・・わり、俺、人の名前と顔覚えんの苦手なんだよ。
 悪いけど名前、聞いていいか?」
「・・・・・・・青桐芳。新聞部部長。14歳。たった今だれかさんの所為で頭打った哀れな女子!!!」
「・・・・・・・・・・」
失礼なコイツの言葉にあたしは怒り、怒りのあからさまな言葉を出す。 
「・・・・・・ったく、頭打ったのはお前だけじゃねぇよ。俺だって肩の辺り打ったんだよ。・・で、青桐何してんの?」
「・・・・・・・今度の校内新聞の、取材」
「はぁ?」
「取材だって、悪い??」
フンッとあたしは鼻を鳴らし、持ってきたカメラやらなにやら、取材に必要な物の入ったカバンを見せる。
「取材って・・・・・此処を?」
「そう。此処を」
「・・・・・・・・・」
黙り込む。
何かいけないのかとあたしは唐突に不安になり、早まる心臓を抑えて市原の言葉を待つ。
――――ぞく、
(――――――――え、)
同時に、鳥肌が立った。
ぶるぶると頭を振って頭に浮かぶ嫌な予感を消し、市原を見やる。
「・・・ねぇ、ちょっと?」
「・・駄目だ。此処は常人がホイホイ入る所じゃねぇんだよ。・・・・帰れ。今ならまだ、平気だと思うから・・」
「っ!?取材は!?」
「他のでも出来るだろ??急げ!!」
「ちょっと待ってよ!そんな事したらウチの究極の毒舌者・沙紀に怒られる!!」
「知らねぇよ!いいから、早く帰れッ!!」
「・・・・・・!?」
「今すぐ、此処から消えろ」
「・・・・・・・・・」
言葉が出なかった。
言いたい事は沢山あるのに、その総てが市原の瞳に吸い込まれていくようだった。
消えていく言葉を取り戻す事は出来ずに、呆然とその場に立ち尽くす。
何故か慌てた様子の市原を見上げ、ふと思った疑問を―――・・・否、疑問すら問えなかった。
全てが瞳に、市原の剣幕に、吸い込まれてく。
不思議な感覚が、する。
市原から漂う雰囲気は、何処となく雅に似ていた。
上品な雰囲気じゃなくて―――・・・もっと別の、人間離れした雰囲気。
「おい、念のため聞くけど・・・・。青桐、お前、此処に来て俺以外の誰かに遇ったか?」
「・・・・・・あ、遇ったよ・・?」
「っ!!!!」
市原が、苦虫を噛み潰したような顔をする。
理由は判らなくて、あたしはそのまま立ち尽くすだけ。
一筋の風が吹く。
木の葉が揺れる。
雑草達が揺れる。
空気が轟(とどろ)く。
「・・・・
[No32] 2004/01/20 18:18info


「術」第6話

今思えばそれは、「為す術の無い"永遠"の迷路」に囚われる前の、あたしの微かな忠告だったのかもしれない。
気のせいだと思ったから誰にも言わなかった。
沙紀にも言わなかった。・・もちろん、卓にも有紀にも。
特集を「雑木林」に決めた時の、僅かなわだかまりは。
―――・・誰にも、言わなかった。
  *
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誰?」
しばらく呆気に取られていたあたしは、ようやく声を出す。
いつの間に現れたんだろう。
少なくとも、あたしがあの大木に触れた時にはいなかった。
1秒や2秒で、人間が場所を移動できるんだろうか?
しかもその上、此処には全く人の気配が無かったのに。
「・・・・私?私はね、雅っていうの。長本雅」
「・・えっ、あぁー・・、あ、あたしは・・青桐芳」
緊張の為か変に歪んだ言葉で自己紹介をし、照れくさく笑う。
くすりと雅という少女に微笑まれ、気恥ずかしくなる。
名前通りの、とっても綺麗な顔立ち。
上品な雰囲気につつまれ、この場所に居る事自体が変でならない。
見た目から伺うと、歳はあたしより2つか3つくらい下に見える。
「えっとー・・、雅・・・ちゃんは、何で此処に居るの?」
「・・・ふふっ、ちゃん付け要らないけど?」
「えっ、あー・・・・、"雅"?」
ひどく落ち着いた雅。
あたしだけが慌ててるみたいで、何だか馬鹿だ。馬鹿らしい。
「じゃあ、雅は何でこんな所に居るの?」
「・・・・・・”こんな所”・・?」
―――ビクッ
反射的に肩が震え上がった。
何故か冷たく感じた雅の言葉が、頭に刻まれた気がする。
「私はね、いつも此処に居るよ。此処が私の居場所なの。1番強い想い出もあるし、1番安心できる場所だから」
「・・・・・へ?」
『いつも此処に居るよ』
(・・いつもって・・・・無理だと思うんだけど・・)
そんな事を思いつつ、多分暇な時はほぼ来ている、という意味だろうと、頭の中で勝手に完結させる。
「ねぇ。芳は何をしに来たの?」
「あ、あたしはこれでも新聞部の部長だから、此処の取材!今度此処で校内新聞の特集組むんだー」
「へぇ。部長さんなんだ?頑張ってるね」
ふわ、と柔らかく微笑む。
邪気の無い、根っからの"純粋"な笑顔に、思わず女のあたしまで見とれてしまった。
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・どうしたの?」
「って、あ!!取材!!!」
唐突に思い出した、此処にきた理由。
雅と話して、此処の怪しい雰囲気など欠片も感じずに和んでしまった。
まるで此処が、あたしの住み慣れた家――――・・・ふるさとみたいな感覚がした。
雅が現れてから、色褪せた景色が鮮やかに甦ったみたいだった。
(・・・・・・・・・・変なの。あたし、寝不足かな・・)
小首を傾げつつ、いつもここに居るという雅を見て一つの案が思い浮かぶ。
「ねぇ雅っ!此処のさぁ、言い伝えとか歴史とか・・・オカルトって知らない?」
「・・・?」
「取材だって、取材!雅、あたしの集めた資料より詳しい事知ってそうだし」
そう。
何となく、本当に何処となく――――・・・雅は、誰よりも此処の事を知っているような気がする。
故郷みたいに。総て、を。
「・・・・・・ごめんね。私、よくそういう事は知らないんだ」
「・・・・・・・」
申し訳無さそうな顔をする雅に、今度はあたしが悪人みたいな感じがしてくる。
本当に変だ。
身体も、何だかふわふわするような感じがする。
・・何でだろう?
意識が何だか夢の中に居るようで、この奇怪な雑木林の雰囲気すら忘れそうだ。
「・・・・・・・何か、不思議だよね」
「?」
「雅と喋ってるとさぁ、何か・・・此処の雰囲気、忘れそうになってくる」
「・・・それって、謝る事なのかな・・」
「っ違うって!!あたしがただ単にそう感じただけだから・・!」
必死に弁解し、苦笑い気味の笑みを浮かべる。
つられて雅も笑い、お互い笑みを向けた。
――――――がさがさっ
「っ!?」
――――――がさがさがさっっ・・・がさっ
「え!?何!?蛇!?熊!?」
唐突な草を掻き分ける音にあたしは飛びのいて、雅にすがりつく。
あたしよりずっとずっと、雅は小さかった。
[No31] 2004/01/20 17:42info

きゆ


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