| トロヤの少年ガニュメデスはある日、父の羊の番をしていると、大きな鷲が一羽舞い下りてきて、ガニュメデスを掴んで飛び去ってしまいました。父のトロスはそれを見るなり、大声で叫んだり、石や木の枝を投げつけましたが、見る見る鷲は空のかなた遠くかすんでいきました。家に帰って妻にその話をし、ともに悲しみに沈んでいました。2、3日たって、トロスの家に見慣れない若者がやってきて「ガニュメデスの事は心配無用だ。あの子は美しいので大神が欲しがられたのだ。大神がいらっしゃるオリンポス宮殿では、日ごとに酒盛りがあって、ガニュメデスはそのお酌をつとめるのだ。そしていつまでも年をとることもないし、死ぬこともない。」こういうと若者は外に出て、鷲が飛んでいった方角へ影を消していきました。トロスは「あれは神々の伝令神ヘルメス様だ。ありがたい。」といって、悲しみの涙は喜びの涙に変わりました。 |