天体幻想曲
海を渡る白牛


フェニキアの王女エウロパは、ある日、海に近い牧場で、友達とつみ草をしていました。すると、雪のように白い牡牛がやってきて、そばにうずくまりました。美しくおとなしい牛なので、王女はつい気をゆるして、乗ってみました。すると牛は、たちまち身を起こして、友達が、あれよ、あれよと叫ぶのを後ろに、いっさんに海に走り込むと、波の上をまるで地面のように踏んで、沖へ沖へと出て行きました。王女は、牛の角にすがって、なおも、友達を呼んでいましたが、陸はもう青くかすんでしまいました。人影1つない地中海には、イルカの群れが波間に身をころがしながら、まわりに集まってきます。美しい海のニンフ達も列を作って前後につづき、人魚達はほら貝をあげて、高らかに楽しい曲を吹き鳴らしました。王女エウロパはようやく心が落ち着いて、白牛に、「私を、どこにつれて行くの?」と尋ねると、牛ははじめて人間の言葉で、「わしは大神ゼウスで、おまえを花嫁にするのだよ。」と答えました。こうしてゼウスの白牛は、フェニキアから海を渡ってギリシアの海岸に泳ぎつきました。


神話 メイン


Team MAKyOS