| 太陽系内の天体はお互いに引力をおよぼしあっているが、天文学では、まず近似的に各天体は太陽の引力のみを受けてケプラー運動をしていると仮定し、ほかの諸惑星の作用によって生ずるこのケプラー運動と実際の運動の差を摂動という。惑星の軌道は摂動により次第に変化するが、一つの惑星の軌道を追跡するには同時に、ほかの惑星についても解かねばならない。そこで、各惑星についてケプラー運動から出発するのは有効な方法であるが、実際には近似位置を求めて、相互の引力を計算し、摂動量を求めて再び近似位置を求め・・・という手続きを何回もくり返さなければならない。天体力学で摂動を取り扱う理論を摂動論という。摂動には惑星の会合周期を主な周期とする周期摂動と、時間とともに増積していく永年摂動がある。惑星の軌道の長半径には永年摂動はなく、離心率と軌道傾斜の値もある範囲から出ないことがわかっている。摂動による小惑星、彗星の過去軌道の研究や、人工衛星の摂動による地球と月の形や物質分布の研究なども行なわれる。 |