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12それから数日間、遠くの方で爆撃があったと聞いたがたいして僕には影響がなかった。 乏しいご飯にはもう慣れた頃だった。 「たけちゃん、戦争ってたけちゃんあんま知らんねやろ?」 ウメが僕のとなりで言った。「自慢じゃないけど、馬鹿やから知らん。」と僕は答えた。 ウメはいつもの広場に腰を下ろして空を眺めた。僕はいつもどおりウメの隣に腰掛けた。 「知らないならあたしが教えたろ思とってん。」 「そんなに知らなきゃいかんことなん?」 ウメは少しため息ついて 「もう知らなあかん時なんや。」 と潤んだ瞳で微笑んだ。 僕の顔が引きつった気がした・・・・。 「じゃあ教えてもらうわ。」「それが無難や。」 またウメは空に目を戻し口を開いた。 それはまるでこれからの日本を見透かすかのように・・・。 「兄ちゃん!兄ちゃん!勘太郎兄ちゃんはどこや!」 「武志!?どうしたん?!」 僕はウメの話を聞いて家に飛んで帰った。そして母ちゃんの言う事も無視して 「兄ちゃん!兄ちゃん!」と叫びながら兄ちゃんの部屋のふすまを力いっぱい開けた。 「兄ちゃん!」 「武志 👍 [No21] 2004/11/07 11:46 ![]() | ![]() おかめ |
![]() おかめ | 11「手、洗ってくるわ。」そういってトミをおいて夕食を作った。 「ほれ、トミ。居間に座り」 「兄ちゃん、かぼちゃ今日はないん?」 「しょうがないやろ。我慢しいや」 僕はつい一ヶ月前の食事を思い出し今晩の夕飯と比較した。 なんて質素なものになってしまったんだろう・・。 今までかぼちゃはもちろん、魚だって食べられたのに。なんでや、どうしてこんなんなったんや。 「武志の工夫のおかげで安くおいしく食べれるわ。」 「飯ならまかしとき。」 僕は体力が衰えている母ちゃんに自慢げに自分の腕を叩いた。 ちゃぶ台の上には自作の納豆にご飯、そしてキャベツの炒め物だけだった。 トミはため息ついてお箸でキャベツをつついた。 兄ちゃんは今日も帰ってこない・・・。 👍 [No20] 2004/11/07 11:17 ![]() |
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10「お願いやから、僕の前で強がんな。僕の前では本当のウメでおってくれ。」 広場にさわさわと風が通り過ぎた。ウメのスカートがカーテンのように揺れ、あったかかった。 そして僕はウメの頭を優しくなでると小さく彼女はコクンとうなずいた。 「母ちゃん。ただいま。」 「あぁ武志。」 僕はいつもの元気を失いトボトボと帰ってきた。それは傍から見てもよく分かる光景だった。 「武兄ちゃん、元気ないで?トミ、悲しくなるやんか。」 トミが僕の両足にぴっとりとくっついてきた。 「そんなことないで、兄ちゃんは元気や。」 僕はトミを抱っこすると母ちゃんとちゃぶ台をはさんで座った。 「見たのか、武志。」 母ちゃんはあったかいお茶をすすった。なにか疲れていた。 「やっぱり母ちゃんも情報が早いな。」 「当たり前や。」 少し時計の音を聞いてから母ちゃんにたずねた。 「夕飯、作ろうか。」 「あぁ、そうしてくれるとありがたいわ。」 母ちゃんはにっこり微笑んだ。僕は帽子をぬぎ、肩にかかった鞄を下ろして少し髪がのびた坊主頭を ガシガシ掻いた。「手、洗ってくるわ。」そういってトミをお 👍 [No17] 2004/11/03 16:15 ![]() | ![]() おかめ |
![]() おかめ | 9兵隊が通り過ぎてもなお、商店街は静まり返っていた。 ここにいる人皆、今見た光景に愕然とするばかりで時が止まったかのように思えた。 辺りには沢山の砂埃が舞っていた。 「たけちゃん・・・帰ろう。」 ウメは急に僕の腕をつかみ、この場を走り去った。その間ずっとウメは僕を引っ張り決して 僕に自分の顔を見せないように・・・と気遣っていたように思えた。 「ウメ。ええ加減こっち向きぃ!」 いつもみんなで野球やってる広場まで来た。僕はウメの痛々しい態度にたまらず ウメの腕を引っ張ってウメの顔を見た。 「嫌や!なんでそんな嫌な事するん?」 「ウメ・・・やっぱり泣いてたんや。」 「見ないで欲しかったわ。」 案の定、ウメは泣いていた。目を真っ赤にして。それでもウメは僕と手をつないでいない方の手で 目を隠した。 「隠すなや!」 僕は怒鳴ってウメの両腕をつかんだ。 「やめて!こんなん見られたくないのに!」 その瞬間僕はウメを抱きしめた。ウメの三つ編みが僕の肩に流れた。 「お願いやから、僕の前で強がんな。僕の前では本当のウメでおってくれ 👍 [No16] 2004/11/03 15:17 ![]() |
8「武坊、ウメちゃんこっちへ来いや。」 「え?」 僕らは駄菓子屋のおばちゃんに呼び止められた。そして駄菓子屋のおじちゃんに僕は腕を捕まれ、 店の中へと引きずり込まれた。 「なんなん?いきなりっ!」 僕はほっぺを風船みたいにしておじちゃんを睨んだ。あまりにもおじちゃんの力が強かった。 「ほれ、見てみ。」 ウメは僕より先にその光景に唖然としていた。おじちゃんは僕にあごで指示した。 そこには何人もの兵隊。足をそろえて行進し、皆無表情だった。 彼らの左胸には神々しく、そしてにくらしく日本国旗が刺繍されていた。 「なんや・・・あれ。」僕が呟くとウメは「始まったんや。戦争が」と兵隊を見つめたまま言った。 👍 [No15] 2004/10/31 21:38 ![]() | ![]() おかめ |
![]() おかめ | 7それから僕は数日間何事もなく時を過ごした。『戦争』と言ったってなんにも僕には影響が ないものなんやな・・・と思うくらいだった。変わった事と言えば兄ちゃんの仕事が さらに忙しくなった事。それと帰ってきたら毎日母ちゃんと防空壕作りをする事。 あまり防空壕というものを詳しく知らないが「ただの逃げ道」と聞いている。 「たけちゃん、どう?」 「なにが?」 快晴の昼下がり僕らは学校から早めに返された。しょうがないから商店街を歩く。 「家の雰囲気。」 「あぁ、そうやな。兄ちゃんの姿最近見てないだけや。」 「それでも充分問題やな。」 「そうか。」「そうや。」 そんなのんびりした僕らに遠くからリズミカルな足音が聞こえてきた・・・・。 羊に狼が襲ってくる・・・そんなような感じがした。 👍 [No14] 2004/10/31 21:11 ![]() |
6「あたしは死なへん。」 ウメは急に口を開いた。真顔で、じっと地面の石ころを見つめていた。 「戦争って死ぬもんなん?」僕が聞くとウメは顔を上げて僕の目を真っ直ぐ見た。 そしてにっこり笑って「死なへんよ。」といつもの明るい声で言った。 僕は少し安心してウメの隣にしゃがみこんだ。「なんでたけちゃんはここに来たん?」ウメが言う。 僕はちょっとだけためらって「不安になっててん。ウメの顔が見たくなっちゃ悪いか?」 「悪くないよ。あたしもたけちゃんの顔ちょうど見たくなってたからよかったわ。」 「そうか。」「そうや。」 くすっと笑ってウメは自分のひざに頬を当てた。 「たけちゃん・・・・・」 僕は空を見上げた。キラキラと星で埋め尽くされた空を何故か今見たくなった。 どうしてやろ。なんかもう見られなくなりそうで怖いねや。 「あたしらずっと一緒やで?」 ウメは僕の肩に顔を乗っけた。僕はびくっとしてウメの顔をとっさにみた。 「ずっとずっと一緒やで?あたしから離れないでくれな。」 「もちろんや。僕はウメがおらんとなにもできひんわ。」 「約束やで。」 👍 [No13] 2004/10/31 12:25 ![]() | ![]() おかめ |
![]() おかめ | 5僕は星空の下、風と一体になって走っていた。 いや、風よりも早くウメに会いたかった。 なにか、不安な気持ちに駆られた。 戦争ってなに?怖いもの?始まるって?爆弾って? 僕はいまだかつてないこの「戦争」という言葉におびえていた。 「ウメ!」 そして僕は叫んだ。そこら中に声が響くほど、「ウメ!ウメ!」と、叫び続けた。 するとウメの家の前になにか気配を感じた。うずくまった何かがあった。 僕はそれに「ウメ・・・?」と手を添えるとそれはびくっとしてふせていた顔をあげた。 「たけちゃん、どうしたん?」 ウメはいたって普通に、いつもどおり驚いた顔をし微笑んだ。 「どうしたんって、しゃがんで顔伏せてるんやもん。ウメ泣いとると思ってん。」 「いややわぁ、泣いてへんよ!」 ウメは名前のとおり梅のように頬を染めた。 「聞いたよな?戦争・・・始まるって」 僕は早速ウメに言った。ウメに「大丈夫だよ」って言ってもらいたかったのかもしれない。 「うん。聞いとったよ。」 ウメの瞳の奥がきゅっと締まったような気がした。 👍 [No12] 2004/10/22 22:15 ![]() |
続きそんなにぶい音をさせて「緊急速報です」とラジオはいきなり切り替わった。 例の曲はちょうどサビに入る手前だった。 「本日・・・・」 なにか大切なことを言っているのだろうけど僕には難しくてよく分からなかった。 けれど母ちゃんと兄ちゃんは箸をピタリと止め、ラジオを見つめた。 ハキハキした声でたんたんと速報を読み上げる人の声が居間に響き、とても恐ろしく聞こえた。 そしてその人が「繰り返します」と言った瞬間、青ざめた母ちゃんと兄ちゃんに僕は尋ねた。 「なんなん?なんて言っとったん?」 身を乗り出してそう聞くと兄ちゃんはため息ついて 「戦争・・・・・始まるんやって。」 と一言重々しく言った。さらに「今日関東の方で爆弾落とされたらしいわ」と続けた。 「なんやって・・?」 僕は目を真ん丸くし割烹着を脱ぎ捨て家を飛び出した。母ちゃんは「武志!」と僕を 呼び止めたが僕の頭にはあいつしかいなかった。 ウメ、ウメ・・・僕はウメに会いたいんや! 学生服が暑さをさらに暑くさせた。 👍 [No11] 2004/10/17 22:05 ![]() | ![]() おかめ |
![]() おかめ | 4僕はいつものようにラジオのボリュームをあげた。 この時間は僕の好きなレコードがかかってるはずや。 そう思ってつけると案の定僕の大好きな曲が居間に広がった。 「最近武志こればっか聴いてんなぁ」兄ちゃんがかぼちゃをほおばりながら言った。 「あんな、これお隣のウメちゃんも好きなんやって」母ちゃんがおばはんみたいに言う。 「たけ兄ちゃん、ウメちゃんのこと好きなん?!」トミまでそんなませたことを言う。 「自分らちょっとたち悪いで!?」 僕はちょっと顔を曇らせほっぺを膨らました。そしていかにも怒ったとでも言うかのように ドカンとあぐらをかいた。 「そんな怒らんと、ほら、歌もええとこに来たで」 母ちゃんがポンポンと僕の肩を叩くと兄ちゃんも「そうやで、ちゃんと聴いとけ」 と箸でラジオを指した。「そんなん言われんでも分かっとるわ」 僕は坊主頭をガシガシかいて耳を澄ませた。しかし、そんな僕の耳に入ったものは ウメの大好きなレコードなんかじゃなくて恐ろしい知らせだった。 ジージー・・・ジジッ。 そんなにぶい音をさせて「緊急速報です」とラジオは 👍 [No10] 2004/10/17 21:53 ![]() |
3僕は真っ白な母ちゃんの匂いがする割烹着を着て夕飯をちゃぶ台に並べた。 「今日はトミの大好きなかぼちゃの煮物やで~」 そういいながら居間にかぼちゃをもっていくと「ほんま!?トミな、兄ちゃんのかぼちゃ 大好きやねん!」と言ってトミは僕の周りをぴょんぴょん跳ねた。 「えぇにおいすんなぁ」 「あ、兄ちゃん起きたん?」 「匂いにそそられてん」 奥のふすまからは僕の坊主とは違い格好よくのびた髪の毛が似合う20歳の兄ちゃん、 勘太郎兄ちゃんが出てきた。 兄ちゃんは毎朝家を守るために新聞配達で稼いでいた。 父ちゃんが病死してからは兄ちゃんが父ちゃんのようなもんだった。 「お米炊いてきたで。さぁ、食べましょか。」 お団子が似合う母ちゃんがおかまに入った白米を持ってきて言った。 「トミ、やっと食べれるで」 兄ちゃんがトミをイタズラっぽくくすぐるとトミは嬉しそうに「勘兄ちゃんくすぐったいー」 と暴れ始めた。 そんな家族を見て幸せを感じつつ、僕はいつものようにラジオをつけた。 僕はこのラジオで幸せがぶち壊しになるとは思ってもいなかった。 👍 [No9] 2004/10/17 21:41 ![]() | ![]() おかめ |
![]() おかめ | 2「母ちゃんただいま!」 僕はウメと会ってきた感動を胸にしまい戸を開け、 そして真っ白な布団をしまっている母ちゃんに大きな声で言った。 手がちぎれるほど手をふると母ちゃんは「武志、おかえり」と振り返り優しく微笑んだ。 僕の家族はこんなあったかい母ちゃんがいて他にも家族はいる。 「兄ちゃんお帰り~」 「トミ、ええ子にしとったか?」 僕が居間に入ると7歳の妹、トミが僕の足にくっついてきた。 今日も僕の妹はべっぴんやなぁ。 そんな寝ぼけたことをトミを見つめて思っていれば「武志、夕飯作ってな」と 遠くの方で母ちゃんの声がした。 「よっしゃ、トミ、兄ちゃんがうまいもん作ったるかんな」 「今日のご飯はなに?」 トミのほっぺたをむぎゅぅとつねるとトミは今日の夕飯を待ち遠しそうににへらと笑った。 👍 [No8] 2004/10/17 21:29 ![]() |
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![]() おかめ | 小説を読んでいただくにあたってこれは昭和の話です。あんまり詳しいことは知らないので想像で 書くところがありますが気にしないで下さい。 あと、あたしは関東に住んでいますが関西弁で書いています。 そのほうが雰囲気でるかと思ったので。 関西にお住まいの方、なっていない関西弁ですがどうか広い心で見てやってください。 この小説は想像で書く部分がほとんどです。 「いや、こうだろ!」「それはありえないだろ!」と思うことが多々あると 思いますが気づかないフリをしてやってください。 新人なので小説面でも未熟ですがどうか目を通していただけたら嬉しいです。 👍 [No4] 2004/10/17 17:05 ![]() |
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![]() おかめ | 1「うめ~っっ!!」 「あーったけちゃん、なぁに?」 快晴の空。学校が終わった僕は急いでウメに会おうと走ってきた。 「うめ、やっとおいつたわ。」 市場をずーっと行ったところでようやくウメを呼び止めた僕は 膝に手を当て中腰になって息を切らした。額にはキラキラ汗が光っている。 お下げでセーラー服の似合うこの可愛らしいウメ。僕はそんなウメに「これやる」と、 手の中にあるものを無理やりウメの手に押し込めた。 「なんやの?これ。」 ウメはそっと自分の手を開いて目を丸くした。 「たけちゃん、これ高かったんとちがう?!」 ウメの第一声はこれだった。 「へへっ。もっとよろこんでぇな。お前今日誕生日やろ?」 「覚えててくれたん?」 「もちろん!!」 昭和初期、駄菓子も安いこの時代。ウメの手の中には唯一高い駄菓子がおさまっていた。 僕はウメがいつもこの駄菓子を見つめてため息ついているのを知っていた。 そしてこの日のためにコツコツ母ちゃんの手伝いをしてお金をためた。 「嬉しいわ!!ありがとうたけちゃん」 ウメは今日一番のにっこり笑顔でそ 👍 [No2] 2004/10/17 16:39 ![]() |
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