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ピチレモンランキング



みんなはクリスマスに何もらった?

No.30428
開始 2005/12/25 14:56
終了 2006/12/25 14:56
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1位.

おいでよ どうぶつの森

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iPodもどき・ダウンベスト

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犬。(ミニチュワダックス)の②ヶ月

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ブルークロスの服

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ipod。って『ipodもどき』って何?

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ヘァァィロン

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I Podnano・ディズニー福袋など☆

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でかたまorDsの機械orプチ②お店っち

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あーCHAN表紙のコスメBOOK♪

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12位.

服とかいっぱい。リズサ(リズリサ)の

1票


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匿名

私、きっとー間違ってない。

翌日。麗華は昨日よりも早く登校した。恐らく今日も早い
時間から学校に来ているであろう、舞と話すために。昨日
隼人と衝突してから今一度舞との関わり方について考えた
結果、やはりもっと話して仲良くなるべき、という結論に
達した。ーやっぱり、こんな状況、見過ごす訳にはいかな
い。自分は間違っていないのだという隼人への反発もあ
り、麗華は張り切っていた。絶対に橘さんと仲良くなっ
て、百合薔薇学園を変えてみせる。麗華は一度気を落ち着
かせると、教室のドアに手をかけた。「おはようございま
す。…あっ、」橘舞はやっぱりいた。今日は花の水やりで
はなく、自分の席で勉強をしている。麗華はひょこひょ
こ、と舞の席に向かい、「橘さん、おはよう!」勿論のこと
返事はない。それどころか、今日は殊更雰囲気がトゲトゲ
しい気がする。表情すら一切変えない舞に落ち込む様子も
見せず、麗華はガンガン話しかける。「朝早くから来て勉
強してるなんて、凄いね。そういえば、橘さんってモデル
やってるんでしょう?私初めてあなたを見た時、本当に綺
麗な子だな~って思ったの。モデルやってるって聞いて、
凄い納得しちゃった」舞は未だに無反応だが、麗華は意を
決して切り出す。「あの…橘さん。良かったら、私と友達
にならない?」「断るわ」あまりの回答の速さに、麗華は
弾かれたように舞の顔を見る。舞は麗華ではなくテキスト
を見据えており、表情も読めない。光の速さで断られるな
んて、と麗華は意気消沈するも、めげずに続ける。「そっ
か…。でも、たまに話しかけてもいいかな?やっぱり、あ
なたと友達になりたいって気持ちは消えないから」ここま
で来たらもう意地だ。「別に、答えてくれなくてもいいん
だけどね。私の自己満足みたいなものだから。それで…」
「あなたは」急に舞が被せるように言葉を発し、麗華は目
を見開く。舞は、今度こそしっかり麗華の目を見据えてい
た。「私が怖くないの?」「え…」質問の真意が分からず
麗華が戸惑っていると、舞が長い黒髪をかきあげて言う。
「聞いてるでしょ?私の噂。ヤクザの娘だとか、不良と付
き合ってるだとか、他にも色々あると思うんだけど。あな
たは、こんな噂が出てる私と、友達になりたいとか本気で
思ってるの?」「思ってるよ」間髪入れずに答えた麗華
に、今度は舞が目を見開く。「友達になりたいって思うの
に、理由なんか必要ないと思うんだ。しかもそれ、ただの
噂でしょう?私はこう話してて、橘さんは本当にいい人な
んだろうなって感じてる。私は、橘さんと友達になりた
いって、本気で思ってるよ」「…あなた、変わってるね。
二階堂財閥のご令嬢なのに」声のトーンが変わったように
聞こえて麗華が顔を上げると、舞は苦笑していた。初めて
見る笑顔ーに入るのか分からないがーだ。「いいよ。好き
にしたら」それだけ言うと、舞はまた勉強を始める。え?
これって。ー一応、友達になった、ってことだよね?
「やったあ!」麗華は小さくガッツポーズをする。橘さん
と…友達になれた。やっぱり私、ー間違ってなかったん
だ。
👍 [No22] 2020/09/27 11:41info

ー別に、あんなことが言いたい訳じゃなかった。ただ、あ
の時は、少しカッとなってしまっただけでー。

麗華がいなくなってから、40分ぐらい経ったのだろうか。
隼人は未だ、校庭のベンチに座っていた。脳裏には、麗華
の泣き顔と、ー一昨日の朝のある出来事。とその時、隼人
の前に大きな人影が。「九条さん。帰りますよ」見上げる
と、「…如月さん?」自分のお世話係は藤沢ではなかった
のか。如月は隼人の驚いた様子を気にした素振りも見せ
ず、ただ目の前に立ちはだかっている。「ー分かりまし
た。待たせてすみません」隼人がそう謝って立ち上がる
と、如月は何も言わずに校門へと向かう。それに続き車に
乗り込んでしばらくすると、如月から唐突に質問があっ
た。「麗華さんと、何か…あったんですか」ー何でこの人
がこんなことを。隼人は一瞬不思議に思うも、ありのまま
を正直に話すべきだと判断した。さっきの事のあらましを
丁寧に話す。如月は聞き終わると、「なるほど」とだけ
言ってそれ以外何も反応を見せず、隼人は更に首を捻る次
第となった。

二階堂家に戻ると、麗華がいる時よりは静かだが、それで
も手厚い歓迎を受けた。これは何度経験しても、少し恥ず
かしい気持ちになる。隼人は使用人達に会釈をして通り過
ぎると、エレベーターへ向かった。行き先は5階。今日は何
をして暇を潰そうかな、とそんなことを考える。実際は祐
樹から貰った漫画やゲーム機で、大体の時間を潰している
が。もう少しで自室に辿り着く、その時。隼人は急に足を
止めた。ー誰かいる。髪色と体格でその人物の予想がつい
た時、隼人は妙に嫌な予感がした。ゆっくりと距離を縮め
ると、相手も隼人の存在に気づいたようだ。「あ、やっと
来た」その人物は真顔でそう言うと、隼人の方へ近づいて
くる。…後退りが、できない。というより、その場から動
けないような静かな圧。隼人が動けず立ち尽くしたままで
いると、相手はおもむろに足を止めた。そのまま、隼人を
真正面から見据える。ー激しい憎悪の籠った目で。隼人は
この空気に耐えかねると、乾いた口を開いた。「鏡夜く
ん…。どうして、ここに」「自分が一番分かってんじゃな
いの?」「え?」「それよりさぁ」鏡夜は隼人の胸ぐらを
掴むと、そのまま壁に叩きつける。「…き、鏡夜くん?」
「…どうして、お姉さまを泣かせた」いつもの鏡夜からは
想像もできない、低い声。その声には、きっと、隼人への
精一杯の憎しみが込められている。隼人が言葉に詰まって
いると、鏡夜は苛立ったように足で壁を蹴る。「なんでお
姉さまを泣かせたんだって聞いてんだよッ!」「…別に、あ
んなことを言いたかった訳じゃなくて。別に、麗華さんを
傷つけようなんて思ってないんです」言い訳がましくなっ
てしまった理由に、鏡夜は整った顔を更に歪ませる。「ふ
ざけんなよ…」そしてもう一度隼人の体を壁に叩きつけ
た。「別に別にって、お姉さまはお前の言葉を聞いて目が
赤くなるほど泣いてんだよ!お姉さまは優しいから、“自分が
悪い”って言って、お前のことは絶対に悪く言わない。け
ど、どう考えても悪いのはお前なんだよ。そもそも、お前
の役割はボディガード。お姉さまとお前は元々住む世界が
違うんだって、分かってんだろ」鏡夜はそう言い終わる
と、ようやく隼人の胸ぐらを掴んでいる手を放した。叩き
つけられた背中が、未だにジンジンと痛い。鏡夜が再び口
を開こうとした、その時。声が少しは聞こえていたのだろ
う、使用人が何人かやって来た。「鏡夜樣!どうしたのです
か!?」すると隼人に気づいた使用人が、もしかしてという
風に口を開く。「…九条さん。鏡夜樣に、何かしていませ
んよね?」「いや、あの。怒鳴っていたのは」鏡夜くんの
方なんですけど、と言おうとした時、鏡夜がびくびくした
様子で一歩前に出る。「あ、あの。勘違いしないでくださ
いっ。隼人く…九条さんが、喉が乾いたって言うので、水
分を摂れる場所を教えようとして。でも、中々うまく説明
できなくて、九条さんが注意してくださったんです。ぼく
が悪いんです。九条さんは、良い人なので、勘違いしない
でください」目に涙を浮かばせ、懇願するように鏡夜は言
う。それを聞いた使用人達は感心したように頷いた。中に
は涙を流す者もいる。「本当に、鏡夜様は麗華様に似て優
しい人に育ちましたね。では、これで」使用人達は去って
いく時、ちらりと隼人を睨んだように見えた。完全に姿が
見えなくなった時、鏡夜は声を上げて笑い始めた。「ふ
ふっ…。アハハハ!いや、マジでチョロすぎ。あんなの信じ
るとかw」鏡夜は涙を拭きながら振り返ると、そうだ、と思
い出したように言う。「次にお姉さまに何かしたら、お父
さまに頼んで、ボディガード、クビにするから」え、と隼
人が呆然とすると、鏡夜は勝ち誇ったような笑みを浮かべ
て去っていった。
👍 [No21] 2020/09/26 11:34info

匿名


匿名

ー九条くんの、ばか。麗華は家に帰っている途中、心の中
でずっと隼人を罵っていた。ーいくら私が世間知らずだか
らって、そんな言い方しなくてもいいじゃない。そもそ
も、私はボディガードなんて要らない。もっと自由に暮ら
したいのに。ー本当に、「ばかっ!」感情が高ぶって思わず
声に出してしまうと、セバスチャンが不思議そうな目で麗
華を見た。「…お嬢様、どうかしましたか」「いえ、なん
でもないわ、セバスチャン。ごめんなさい」麗華は慌てて
謝ると、ふう、と息を吐いて気を静める。すると、セバス
チャンが口を開いた。「お嬢様。学校はどうですか」唐突
な質問に、麗華は目をしばたたく。「…どうして、急
に?」「いえ、別に理由はありません。気になったので」
麗華は、そうねぇ…と考える素振りを見せる。「初めての
ことばかりで、少し大変だけど。でも、楽しいわ。普通の
青春って、こんな感じなんだって。やっぱり、私は少しみ
んなとはずれてる気もするけど」麗華はそう言い終わると
目を伏せた。ーやっと、普通の生活が送れるようになると
思ったのに。世界に名だたる二階堂財閥。その鎖は、麗華
が思っていたよりずっとずっと固い。セバスチャンは静か
に頷くと、二階堂家へ車を走らせた。

家に着くと、お馴染みの使用人総出の歓迎が。麗華はそれ
を会釈で通り抜けると、自分の部屋へ行こうとして、ー思
い留まる。…たまには、バレエでもしようかな。麗華は小
さい頃から沢山のお稽古をしている。華道、書道、茶道か
ら、乗馬、バイオリンなど。麗華はそれが嫌で嫌で仕方が
なかったのだが、唯一バレエだけは大好きで自分から進ん
でレッスンを受けていた。バレエを踊っている時は、何も
考えずに楽にいられるからだ。麗華は自室に行くのをや
め、地下にあるレッスン場へ向かった。

エレベーターで地下に降りると、麗華は目の前の扉を開い
た。レッスン場と一括りで言っても様々な用途があり、麗
華の場合はバレエに使っているが、バスケやテニスなどス
ポーツをするのにも使える。麗華は早速バレエ専用コー
ナーへ向かおうとすると、ー誰かいる。弓道用のコーナー
だ。その人物は静かに弓を引き矢を命中させると、満足そ
うに頷いてこちらを振り返った。麗華と目が合う。すると
その人物ー鏡夜は、目を輝かせ麗華の元へ駆け寄った。
「お姉さま、どうしてここに?」「久しぶりに、バレエが
したいなって思って。それにしても、鏡夜、さっきの凄
かったわよ!だいぶ練習したのね」鏡夜は麗華の言葉に照れ
たように笑うと、次の瞬間、表情を曇らせた。「…お姉さ
ま。何かありましたか?」「…え?」鏡夜は麗華の顔を覗
き込んで言う。「目が赤くなっているので…。ー何か、辛
いことでもあったら、ぼくに話してください」すると鏡夜
はおずおずと麗華の頭へと手を伸ばし、優しく撫でる。麗
華は、舞のことをぽつりぽつりと話し始めた。「そうです
か…でも、本当にそれだけですか?」「ーそれだけ、っ
て?」「いえ、何か他に理由がある気がして…」いつから
こんなに勘が鋭くなったんだろう、と麗華は苦笑する。確
かに、目が赤くなるほど泣いたのとは別の理由だ。「そん
なに大したことじゃないのよ。その人は、私みたいなお嬢
様の言うことが理解できないってー世の中はそんなにうま
くいかないんだって。確かに道理だもの。こんなことを言
われたくらいで泣いちゃう私が悪いんだわ」麗華はそう
言って肩をすくめるも、鏡夜は違った。今まで見たことの
無いような冷酷な目で、まっすぐと前を見据えている。す
ると、「アイツか…」と麗華に聞こえないほど小さな声で
呟き、「お姉さまを泣かせるなんて、許せないな」いつも
の鏡夜とは似ても似つかないぐらいの低い声で、そう言い
放った。「…き、鏡夜?」どうしたの、と言おうとした声
は呑み込んだ。鏡夜は再び麗華に向き直ると、あざとい笑
みを浮かべる。「お姉さま、ぼくも一緒に踊っても良いで
すか?」「え、ええ。…鏡夜って、バレエしたことあっ
たっけ?」すると鏡夜はしゅんとした様子で下を向く。
「ありますよ。お姉さま、忘れたんですか?小さい頃、一
緒にレッスン受けていたじゃないですか」「え?…ああ!“く
るみ割り人形”ね。そっか~鏡夜もいたのか。すっかり忘れ
てた」麗華は舌を出すと、鏡夜も呆れたように笑う。「全
くもう、お姉さまは。じゃあ、行きましょうか」鏡夜はそ
う言うと、麗華の手を取って歩きだした。鏡夜もこういう
ところ、さりげなくキザだな~と麗華は一人ごちる。その
後2人で踊ったバレエでは、いつも以上に鏡夜が麗華の腰に
手を回したり、微笑みかけたりしたのは気のせいではない
だろう。
👍 [No20] 2020/09/06 16:15info

時は過ぎ、放課後。せめて少しでも話したい…と、麗華は
タイミングを狙っていた。その間に舞は既に帰ろうとして
いる。ー今しかない。「あの、橘さん。途中まで一緒に帰
らない?」声をかけるも、またや無視。スタスタと廊下を
歩いていく。麗華は舞を追いかけた。「橘さん、待って。
私、あなたと友達になりたいの」麗華がそう言うと、舞は
足を止めた。「…あなた、何なの?」「…え?」舞は振り
返ると、麗華を睨み付けて言う。「今日ので分かったで
しょ?私が教室内でどういう扱いを受けているか。変に偽
善者ぶらないで。あなたなんて、何もしなくても人が寄っ
てくるじゃない。西園寺グループの御曹司とも付き合って
るんでしょ?」ー見られていたのか。「いや…昴とは何の
関係も、」「これ以上、私に近づいて来ないで」そう言い
放つと、舞は黒髪をなびかせて立ち去った。「橘さ…」
「もうやめといた方が良いですよ」声のした方を見ると、
隼人だ。麗華とは微妙に目を合わせていない。それじゃ
あ、と言って隼人は去ろうとする。「ちょっと待って」麗
華は隼人の肩を掴んだ。「やめといた方が良いって、何?
私はただ、橘さんと友達になりたいだけなのに…」麗華は
目に涙を浮かべて言う。隼人は視線をさまよわせると、
はっと我に返ったように小声で呟いた。「…他の人に見ら
れたら困るので、取り敢えず外に出ましょう」周りには、
少しだが談笑している生徒がいる。2人が近くで話している
ところを見られると、大変なことになるかもしれない。
「…そうね」2人は少し距離を保ちながら歩き、外に出た。

「…で、どうしてあんなことを言ったの?」2人は人気の少
ないベンチに座る。隼人は少し言葉を悩む様子で答えた。
「…この学校、少し歪んでいるというか。元々お嬢様お
坊っちゃま学校なんで、金持ちの権力が凄いんですよね。
それで、」隼人は一旦言葉を切る。「その金持ちの人達
が、気に入らない人をいじめてるというか。気づきません
でした?橘さんのこと」麗華は首を横に振る。隼人は小さ
く息を吐くと、また話し始めた。「たぶん、橘さんってそ
の一部の人達にいじめられているんですよ。いじめって
いっても、橘さんは目立つので、恐らく陰湿な。陰湿だか
らこそ、辛いと思うんですけど。だから、橘さんはあなた
に近づいてほしくなかったんですよ。ここに来て分かりま
したよね?自分がどれくらい目立つ立場にいるのか。二階
堂家のお嬢様が仲良くしようとしたら、もっと反感を買う
ことになる。もっと酷い風当たりになるかもしれない。こ
れ以上橘さんに関わったら、橘さん自身が辛いと思います
よ」隼人の話を聞いていて、麗華は思い出した。朝の水や
り。舞は確かに、別にこんなことはしたくないと言ってい
た。それってもしかして。「…私。酷いこと言っちゃっ
た…」麗華は肩を落とし、静かに涙を流す。隼人はその様
子を何も言わずに見つめていた。「ーでも、私、橘さんと
仲良くしたい。百合薔薇学園を変えたいの。ねえ、どうし
たらいいと思う?」麗華がそう問いかけると、隼人が冷め
た声で答える。「…無理ですよ」うつむいていた顔が弾か
れたように上がった。「…どうして。九条くんは、このま
まで良いと思うの?」隼人は呆れたようにため息を吐く。
「良いも何も、こんなの世間ではよくあることですよ。今
更変えることなんてできない。麗華さんは、圧倒的勝ち組
ですね。誰も敵わないと思いますよ」ーどうしてそんな言
い方。まるでこんな状況が正しいみたいな、「ー私は、二
階堂家に産まれたいわけじゃなかった!もっと普通の家庭に
産まれて、普通の生活を送りたかったの。九条くんに、私
の気持ちが分かるはずない!」突然大声を出した麗華に、隼
人は呆気にとられた様子で固まる。しかし次には、もっと
辛辣な言葉を麗華に浴びせた。「俺だって、あなたみたい
なお嬢様の言うことが分かりませんよ。そんなのただの願
望。世の中そんなにうまくいかないってこと、知っておい
た方が良いと思いますよ。まあ、あなたなら大体のことは
金の力でどうにかなると思いますけどね」言い過ぎたか
な、という風に隼人は唇を噛んだが、もう遅い。次の瞬間
には、隼人に痛烈な平手打ちが飛んだ。隼人が呆然として
頬を押さえると、麗華が唇をわなわなと震わせて言う。
「…九条くんが、そんなことを言う人だなんて思わなかっ
た」そう言い残すと、麗華は涙を拭って校門へと向かっ
た。家に帰るつもりだろう。ベンチには、未だ呆然と頬を
押さえて座っている隼人がいた。
👍 [No19] 2020/08/27 14:52info

匿名


匿名

午前の授業が終わって、昼休み。麗華は舞と一緒にお弁当
を食べようと心に決めていた。後ろから舞の肩をトント
ン、と叩く。「橘さん。お弁当一緒に…あ、」舞は一言も
発さず、席を立ち教室を出ていった。麗華は落ち込む。ー
うまくいかないなあ。その様子を、隼人はぼんやりと見つ
めていた。隼人は隼人で友達ができたようで、一緒にお弁
当を食べている。「麗華ちゃ~ん、お弁当一緒に食べよー
よ!」振り返ると、朝話した3人組だ。こっちおいでよ、と
手を振っている。よく見ると、クラスのいろんな人が麗華
を誘おうとうずうずしていた。どうしよう、と麗華が悩ん
でいた時、廊下から手を振る影が。「麗華ちゃん、お昼一
緒に食べよ~」葉月だ。教室中に、はぁぁと歓声と嘆声の
混ざり合う声。「…やっぱり、うちらとはレベルが違うも
んね…」「この2人、最強だわ」「でもさ、こう見ると麗華
ちゃんの方が格上っぽい…あ、ごめん」麗華は少しほっと
した表情を見せると、お弁当を持って葉月の元へ駆け寄っ
た。「葉月、久しぶり!」すると葉月は口元を綻ばせる。
「本当に可愛いなぁ~飼いたい…」「ちょっと、葉月!から
かわないでよ~」2人はふふふと笑うと、「ねえ、どこでお
弁当食べるの?」麗華が尋ねる。「ああ、それは…」葉月
は一旦言葉を切ると、ウインクをして「着いてからのお楽
しみっ☆」

2人が廊下を歩くと、周囲から羨望の眼差しを受けるととも
に、大きな歓声に包まれる。「見て!あれが噂の転校生!二階
堂家の」「ほんとだ~!マジめっちゃ可愛い…」「え、ヤバ
くね?芸能人やん」麗華は少し身を縮める。「…なんか、
ちょっとみんなの視線が…」「麗華ちゃん凄いね~。もう
校内中に超美少女のお嬢様が転校してきた!って噂広がって
るよ。あ、そうだ、あれ見て!」葉月が指指した場所を見る
と、甘い歓声とともに女子の人だかりが。よく見ると、真
ん中に昴がいる。「ま~た昴くん貢がれてるよ。同じクラ
スだけど、本当に凄いの!みんなプレゼント渡しまくって
て。昴くんは全部断ってるんだけど」麗華は葉月の話に耳
を傾けつつ、昴の方を見ていた。ーこう見ると、やっぱり
かっこいい。すると葉月が麗華の頬をつつく。「あ!もしか
して昴くんのこと好き?」「え!?そんなんじゃないわ。た
だ、凄いな~って見てただけ」麗華は首を横に振る。
「ふぅん?まあ、2人幼馴染みだもんね~。っていうか、昴
くんぐらいしか麗華ちゃんに釣り合う男の人いないんじゃ
ない?」葉月が茶化したように言う。「もう、やめてよ。
ところで、まだ着かないの?」「もうすぐ着くよ~。…
じゃんっ!ここです!」そこは、多くの生徒で賑わうカフェテ
リアの隣にあった。「わあ、素敵!…テラス?」「そう!屋内
のテラスなんだ。麗華ちゃんから見れば、少ししょぼいか
もしれないけど」その屋内テラスは、人工芝が敷かれてお
り、アンティークっぽいパラソル付きテーブルがいくつか
置かれている。利用している生徒は、ほとんどいない。
「結構穴場スポットなんだよね。よし、食べよ!」そう言っ
て葉月はお弁当を広げ始める。麗華もそれを真似した。
「…ってえ、それお弁当!?」「?ええ。うちのシェフが
作ってくれたの」麗華のお弁当には、フォアグラやら一般
高校生は普通食べないような物が入っている。「…さ、
さっすが二階堂家。うちもシェフいるけど流石にそこまで
豪華なのは…」そう言う葉月も鳳グループの一人娘で、二
階堂家には劣るが相当な裕福層だ。「それじゃあ、食べ
よっか」「ええ」いただきます、と手を合わせた時、金髪
の男子生徒がテラスにやって来た。「…え、昴!?どうして
ここに?」麗華が驚いた様子で言うと、昴は王子のように
微笑んだ。「麗華に会いたかったから」葉月がわお、と両
手で口を押さえる。麗華は少し苦笑して言う。「相変わら
ずね。冗談はいらないのに」「冗談じゃないんだけど
なぁ」昴は困ったように頭を掻く。「じゃあ、昴くんも一
緒に食べよ」葉月がそう言うと、昴は眉根を寄せる。「お
弁当、置いてきちゃったんだ。麗華に早く会いたくて走っ
てきたから」葉月はキャーと言わんばかりに口を押さえ、
麗華はじゃあ、と呟いた。「はい、口開けて」ロースト
ビーフを昴の口元へ運ぶ。「え…」「お腹空くでしょ?は
い」「…っ」昴は心なしか顔を赤くして、ローストビーフ
を口に入れる。「…どう?」「うん、美味しいよ」そう
言って優しく微笑む。葉月はと言うと、そっぽを向いて
「麗華ちゃん…天然…」と笑いを堪えていた。もちろん、
麗華の耳には届いていなかったが。その様子をじっと見て
いた、一人の女子生徒のことにも、3人は気づいていなかっ
た。
👍 [No18] 2020/08/26 14:57info

翌日。麗華はだいぶ早い時間から学校へと向かった。「学
校ではあまり麗華に近づかないでほしい」という祐樹の要
望で、今日から隼人とは別行動だ。麗華がまだ人気の少な
い廊下を歩き教室のドアを開けると、そこには1人の女子生
徒がいた。橘舞だ。花瓶に活けてある花に水をやってい
る。麗華は顔を輝かせると、小走りで舞の元へ向かった。
近くで見ると、改めて綺麗だ。「橘さん、おはよう!」声を
かけるも、返事はない。麗華は少し落ち込みつつも、話を
続けた。「その花、綺麗ね。えっと…マーガレットかし
ら?」「…ガーベラだけど」舞は表情を変えずに答える。
「!ガーベラね!橘さん、花が好きなの?」「ー別に、好きっ
ていうわけではないわ」「じゃあどうして、」水やりをし
ているの?と聞こうとした時、2人の女子生徒が教室に入っ
てきた。「おはようございまーすっ。あ、二階堂さんだ!お
はよう!!」「ホントだ!可愛い~ってあれ、橘じゃん。なん
で二階堂さんの隣にいんの?もしかして媚売ってる?キモ
いんですけど」その途端、舞は教室を出ていった。ガーベ
ラの活けてある花瓶を残して。麗華が呆気に取られている
と、2人が馴れ馴れしく話しかけてきた。「二階堂さん、…
じゃなくて、麗華ちゃんって呼んでもいい?」「え、え
え…」「昨日のあれ、凄かったね!昴さまと知り合いな
の?」2人はぐんぐんと麗華に近づいてくる。「そうよ。一
応、幼馴染みなの」「キャー!!!やっぱり?」「いいなぁ。
お似合いだよね~」2人はキャッキャと盛り上がっている。
その時、教室のドアがまた開いた。「あずさももかおはよ
~」スポーツバッグを肩に提げた女子生徒が入ってくる。
「おはよ。今、麗華ちゃんと話してたんだ~。ね?」麗華
は曖昧に頷く。「おお!え、やっば!可愛い~」そう言って麗
華の顔を覗き込む。「そういえばさ、さっき廊下で橘見た
んだけど。あいつまた男と喋ってんの。やばくない?」声
のトーンを変えて話し始める。「あーそうそう、さっき
橘、麗華ちゃんと話してたんだよ!」「マジ?可哀想~。麗
華ちゃん、橘と仲良くしない方がいいよ!」麗華は困った表
情を浮かべる。ーなんで、この人達はこんなことを言うん
だろう。「そーそー。あいつモデルやってるんだけど、芸
能界のイケメンとかと付き合ってるんだって。うざくな
い?しかも学校でも男子としか喋らないし、どんだけ男好
きかよ!って」1人がそう言うと、他の2人も同調して笑う。
なんかおかしい、と麗華は感じた。「ー別に、そこまで悪
い風には見えないけど…」すると、その場が水を差された
ように静かになる。一瞬の間の後、1人が口を開く。「ほん
と麗華ちゃん優しすぎ~!!橘も見習えって感じ」それなー、
とまた2人が同調する。見習えって、何を。怒りが沸々と沸
き起こったが、麗華は何も言わなかった。そのうち人が集
まり始め(隼人はだいぶ遅くやって来た)、麗華はいろんな人
と話をした。必ず羨望の眼差しを受けながら。ー私は、羨
ましがられたいんじゃない。対等の立場で話をしてくれた
のは、(そっけなかったが)舞だけだった。ーやっぱり、私は
橘さんと友達になりたい。しばらくするとチャイムが鳴
り、生徒が席に座り始める。舞も教室に戻ってきて、麗華
の前の席に座る。麗華とは、一切目を合わせようとしな
かった。麗華はホームルームの最中、舞に話しかける口実
を一生懸命考えていた。
👍 [No17] 2020/08/25 16:22info

匿名


匿名

全く…あんなイケメンがいるなら俺なんて必要ないじゃね
えか。隼人の脳内には、先程の麗華と昴の仲睦まじい様子
がしっかりとこびりついている。今はリムジンで二階堂家
に戻っている最中。麗華はというと、お喋りに夢中だ。
「あ!そうそう、そういえば昴とも話したの。外見もだけ
ど、キザなところも変わってなくてびっくりしたわ」隼人
は麗華の話に聞き耳を立てる。別に昴に好意があるわけで
は無さそうだが…って、俺は一体何をしているんだ。祐樹
さんにも手を出すなと言われているし、ましてや俺が誰か
を好きになるなんて有り得ない。「あとね、前の席の橘さ
んって子が、すっごく綺麗だったの!話しかけたけど、無視
されちゃった…」「その橘って人、モデルやってるんです
よね」隼人が話に加わる。「え、何で知ってるの?」「妹
がファンなんで。結構人気があるらしいですよ。でも、ま
さか百合薔薇学園に通ってるとは…」隼人の妹は、現在中
学2年生だ。そういえば元気にしているだろうか、と隼人は
急に心配になった。「へえ、九条くんって妹いるんだ。確
かに面倒見が良さそうだものね」そう言って麗華はふふふ
と笑う。隼人は窓の方を向くと、手で顔を覆った。ーやっ
ぱり、天然だ…。

二階堂家に帰ると、大勢の使用人が迎え入れるとともに、
詩乃が飛び出してきた。「お姉ちゃん、おかえり!!学校どう
だった~?」詩乃が屈託のない笑顔で麗華に問う。「楽し
かったわ!葉月とか昴にも会えたし、新しい友達もできた
の」「昴さん、元気そうでしたか?」鏡夜がひょこっと現
れて会話に加わる。「ええ。学園の王子って呼ばれてるら
しくて…確かにかっこいいけど、キザで困っちゃうわ」す
ると鏡夜は独り言を言い、意味深な笑みを浮かべる。
「え、何て?」「いえ、何でも。では」鏡夜は隼人を一瞥
もせず、くるりと踵を返すと去っていった。「…鏡夜、ど
うしたんだろう?」と麗華が首をかしげる。「詩乃も、最
近の鏡夜ちょっと変だと思う。それより、お姉ちゃん!久し
ぶりに遊ぼうよ~」「ふふ、いいわよ。じゃあね、九条く
ん!」麗華が隼人に手を振る。隼人は会釈で応じると、自室
へと向かった。
👍 [No16] 2020/08/21 11:28info

「ごめんなさい、私もまだ来たばかりで場所がよく分かっ
ていなくて…。えっと、二階堂さんと、九条くん。初めま
して、1-3の担任を務めさせて頂きます、碓井凛香です」慌
ただしくやって来て自己紹介をしたのは、新任らしい
ショートカットの女性だった。「はい、よろしくお願いし
ます」と麗華が優雅に頭を下げる。隼人も小さく会釈し
た。「では、早速教室に向かいましょう」そう言って碓井
先生は階段を上る。麗華と隼人もそれに続く。「私、階
段って使うの初めて」麗華がぽそりと呟く。「…そうです
か。そういえば、さっきの人は誰なんですか」「葉月のこ
と?幼馴染みよ。小さい時、よく家に遊びに来てくれた
の」2人で話していると、碓井先生がこっちを振り向き尋ね
た。「2人はどういう関係なの?」「関係ですか?ボディ
ガ、」「何にもないです!ていうか、こんなお嬢様と俺みた
いな庶民が釣り合うわけないです」隼人は麗華の言葉に必
死に被せて言う。「へぇ、そうなの?なんか仲良さそうに
話してるから何かあるのかな、と思って」碓井先生が快活
に笑う。「まあそうか。二階堂財閥のご令嬢だもんね。本
当にこの学校、お金持ちばっかりで肩身が狭いわ~。1-2に
も西園寺グループのご子息がいるのよね、学園の王子って
呼ばれてるらしいんだけど」「西園寺って、もしかして昴
ですか?」麗華がそう尋ねる。「二階堂さん、知ってる
の!?やっぱりお金持ち同士交流あるんだ~。さすが。あ、
ちょうど着いた。ここが教室です。ちょっと待っててね」
そう言って碓井先生は教室に入ると軽く自己紹介をし、
「では、転校生を紹介します。2人とも、入って」と手招き
した。麗華と隼人が揃って教室に入る。その途端、ざわめ
きが2人の耳を貫いた。「え、めっちゃ可愛くね?」「そう
いえば2組の子が言ってた、めっちゃ可愛い子が来るって!
男子もカッコいい~」「はいはい、静かに!」碓井先生はそ
う言うと2人に向き直る。「じゃあ、自己紹介して」隼人が
一歩踏み出し、礼をする。「九条隼人です。よろしくお願
いします」「二階堂麗華です。皆さんごきげんよう」麗華
が挨拶をすると同時に、さっき以上の歓声が教室に響い
た。「え、二階堂!?もしかしてすみれ生徒会長の妹!?」
「マジか!すげえ」「声まで可愛い~」「はい、じゃあ2人
とも席について。九条くんは狩野くんの後ろ、二階堂さん
は橘さんの後ろね」麗華は言われた通り席に向かう。橘さ
んと言われた人を見ると、ー綺麗な子。まっすぐな黒髪を
胸まで伸ばしており、背筋が伸びている。「よろしくね」
と声をかけるも、無反応だった。「では、一旦休み時間に
入ります。トイレなどこの時間に済ませておいてくださ
い」碓井先生がそう言うと同時に、沢山の生徒が麗華の周
りに集まってきた。「本当に生徒会長の妹さんなんです
か?」「近くで見てもめちゃくちゃ可愛い~!!目すごく大き
い!」「え、睫毛なっが!」麗華が返答に困っていると、教室
の外からも歓声が。よく見ると他クラスからも沢山人が集
まっている。すると、更に大きな歓声が響きわたった。
え、何?と麗華が思わず視線を動かすと、そこには金髪で
背が高く細身の少年がいた。その少年が口を開く。「麗華!
久しぶり!!」するとより一層高い歓声が。「え、まさか昴さ
まとお知り合いなんですか!?」「ええ、嘘でしょ!?でもお
似合い~」麗華が慌てて駆け寄る。「昴よね?久しぶり!!変
わってないのね」すると昴が端正な顔を崩さず微笑む。
「麗華もね。本当に綺麗だよ」そう言って白く細長い指で
麗華の髪を取り、優しくキスをした。「キャーーー!!!!!」女
子の悲鳴と歓声の要り混じった声。「嘘…昴さまが…」
「もしかして付き合ってるの!?悔しいけどお似合い…」
「しっかし美男美女だな~絵になるわ」「それな!視力上が
るわ」生徒達のざわめきをよそに、麗華は頬を膨らませて
言う。「全く…キザなところも変わってないのね」「僕が
こんなことをするのは、麗華だけだよ」昴はそう言うと、
ウインクをして去っていった。隼人はその一部始終を、意
味深な表情で見つめていた…。
👍 [No15] 2020/08/20 15:58info

匿名


匿名

「まあ、あれが公園?しかもあの箱みたいなやつは何!?
あ、見てみて、九条くん!鳥が飛んでる~!」麗華は窓に手を
あて、初めて見るものを見つけてははしゃいでいた。今
は、リムジンに乗って百合薔薇学園へ向かう途中だ。「…
鳥ぐらいどこでも飛んでますよ。それより麗華さん。学校
ではあまり近づかないように言われているので…って、」
全然聞いていない。麗華は外の景色に夢中だ。「九条様。
お嬢様は外の世界が初めてなので、テンションが上がって
いるのです。どうかお嬢様のこと、よろしくお願い致しま
す」運転席からセバスチャンが隼人に声をかけた。すると
麗華はくるっと振り返り、頬を膨らませる。「もう、何そ
の言い方?だって今までずーっと外に出られなかったんだ
もん。あ、そうだ、九条くん。なんか同じクラスらしいか
ら、よろしくね!」その途端、隼人は複雑な表情になる。
「あんまり近づくな、って言ってたのに…どっちだよ」と
小声で呟いていたが、麗華の耳には入らなかった。「そろ
そろ着きますよ。右手の奥、煉瓦の外壁が百合薔薇学園で
す」セバスチャンが指し示した先を見ると、煉瓦造りの立
派な建物が。「わあ、あれが百合薔薇学園!?すっごくお
しゃれね!」麗華の言う通り、百合薔薇学園はとても洒落た
造りになっている。煉瓦造りの校舎に、薔薇の蔦が巻き付
いているのが印象的だ。また中高一貫校なため、校舎が4つ
に別れている。麗華達が通うのは第2校舎だ。「あんまり
生徒がいないんですけど…」と隼人が呟くと、セバスチャ
ンが「生徒達は今始業式を迎えているはずです。麗華様と
九条様は、直接職員室に向かってください」と答え、車を
止めた。「ではお二人とも、行ってらっしゃいませ」麗華
と隼人はリムジンを降り、百合薔薇学園の校舎へ足を踏み
入れた。

「ん~空気が美味しい!」麗華は深く深呼吸をする。「…早
く行かないと、始業式終わっちゃいますよ」「全くもう、
本当に九条くんはクールなんだから。それより、私こんな
服着たの初めて!」そう言って麗華はその場で一回転する。
百合薔薇学園の制服は茶色のブレザーと深緑と焦げ茶の
チェックのスカートで、いかにも高級そうな雰囲気を漂わ
せている。「…そうですか」そう言うと隼人はスタスタと
歩いていく。「あ、ちょっと待ってよ、九条くん!」麗華は
追いかけるも、全然差が縮まらない。九条くんの意地悪、
と麗華は心の中で呟いた。

ようやく隼人に追い付き校舎に入ると、もう始業式は終
わってしまったようだ。生徒達がぞろぞろと教室へと戻っ
ている。「…だからもっと早く行かなきゃと言ったのに」
と隼人はぼそりと呟いた。「もう、終わったことなんだか
らいいじゃない。それより職員室?に行かないと!」そう
言って麗華は隼人の肩を押す。「だから、あんまり触らな
いでくださいって!」隼人が心なしか顔を赤くして言う。ー
ちょうどその頃。2人は気づいていないが、生徒達は少しざ
わついていた。「ねえ見てみて、あの子!めっちゃ可愛くな
い?」「ホントだ!顔ちっちゃ!脚ほそっ!」「なになに?芸
能人!?」「え、やば!転校生?男子も結構イケメンじゃん」
それも知らずに、2人は職員室を探し歩いていた。「地図と
かないの?」「ないな」と、その時。麗華に急に何者かが
抱きついてきた。「きゃあ!?」「久しぶり!会いたかったよ
~」麗華がもしかして、と振り向くと、そこには髪をおだ
んごにした生徒がいた。「やっぱり!葉月だよね?」すると
その生徒が嬉しそうに頷く。「そうだよ~。麗華ちゃん、
変わってないね。今も昔も本当に可愛い!」2人がキャッ
キャと話していると、他の生徒が歓声とともに集まってき
た。「葉月様、その方とお知り合いなんですか!?」「う
んっ。幼馴染みなんだぁ」そう言って葉月が微笑む。再び
辺りは歓声に包まれ、隼人にも声がかかる。「名前なんて
言うんですか?」「え、えっと…」隼人が戸惑っている
と、「静かにしなさい!!」と怒号が飛んだ。生徒達は一瞬で
静かになり、教室へと戻っていく。「全くもう、百合薔薇
学園の生徒だというのに、はしたない。あら、鳳さん。ど
うしたの?」その先生は、急に笑顔になって葉月に問う。
「ああ、三上先生。この2人、転校生なんですけど…」言い
終わる前に、三上先生は慌てて礼をする。ー麗華に向け
て。「二階堂麗華様ですよね。先程は見苦しい姿を見せて
しまい申し訳ございませんでした。すぐにあなたの担任を
呼んできます」驚くほどの作り笑顔でそう言うと、2階へと
駆けていった。「ーそれじゃあ、麗華ちゃん。また後で
ね!」葉月が麗華に向かって手を振る。「うん、またね!」葉
月が完全に見えなくなると、隼人が呟いた。「さっきの先
生、嫌な感じだよな」「ーそう?」麗華は首をかしげる。
まあいいや、と隼人が呆れた様子で言うと、小走りで若い
先生がやってきた。
👍 [No14] 2020/08/20 12:18info

「…ねえ、九条くん。ちょっといい?」豪華すぎる昼食を
食べ終えたあと、すみれが隼人に話しかけてきた。「は、
はい」すみれは人気のない場所に移動し、隼人に語りかけ
る。「お父さまからの伝言。学校ではあなたが麗華のボ
ディガードってことは内緒。できるだけ近づかないように
してほしいって。あとは、麗華のことなんだけど」そう
言って一旦言葉を切る。「…何ですか」「いえ、やっぱり
何でもないわ」すみれは首を横に振る。「取り敢えずそれ
だけ。あなたはただ静かに学校生活を送っていればいいの
よ。分からないことがあったら何でも聞いて。じゃあ、明
日から頑張って」それだけ言い残して立ち去った。…麗華
と全然似ていない。会話中ニコリとも笑わず、冷酷なオー
ラを放っていた。また、瑠璃を始め二階堂家の人達は色素
が薄いが、すみれの髪は艶やかな黒髪だ。本当に血が繋
がっている姉妹なのだろうか…。まあ、これは隼人の勝手
な憶測だが。いろいろと考えつつ、隼人はまた自室に戻っ
た。部屋の扉を開けると、沢山の荷物があった。スクール
バッグに教科書類、更には大量の漫画やゲーム機。そばに
手紙が添えてある。[九条隼人くん。急にいろいろ準備を進
めてしまってごめんね。すみれにも伝えておいたけど、学
校ではボディガードだということ、内緒にしてください。
それと、学校に必要なものをはじめ、娯楽用のゲームな
ど、沢山用意したので使ってください。いろいろあって疲
れたと思うので、今日はもうゆっくり過ごしていいよ。追
伸 あくまでも君はボディガードだから、麗華に手を出さ
ないでね。 二階堂祐樹]流れるような達筆で書かれている
その手紙。祐樹の優しさが窺えるが、最後の一文に隼人は
目を剥いた。手を出すって…俺はそんなことしません、と
隼人は内心で祐樹に訴える。ーでも。確かに麗華は物凄く
可愛かった。顔はもちろん、ほわほわとした雰囲気も、
少々天然なのも。お嬢様なのに気取ってないところも魅力
だろう。果たして俺は、明日から一体どういう生活を送る
ことになるのだろうか…。

4月6日午後8時。麗華は自分の部屋で明日の準備をしてい
た。あと半日もすれば、外に出られる。麗華は待ち遠しす
ぎて、自然と頬が緩んだ。そういえば。ボディガードに
なったらしい、九条隼人。意外と良い人そうだったな、と
麗華は思い返す。それより、明日から一体どんな生活が
待っているのだろう…。麗華はいつもより早くベッドに入
り、目を瞑った。
👍 [No13] 2020/08/19 14:23info

匿名


匿名

自室に戻ってしばらくすると、部屋に威圧的なノックの音
が響いた。「九条様。お昼ご飯の用意ができたそうです。
今すぐ2階まで来てください」この声はー藤沢だ。時計を見
ると、針はもう12時をまわっている。…こんなに時間が
経っていたのか。隼人は瑠璃と別れた10時頃から約2時
間、勉強をしていた。中学の復習はもちろん、ーボディ
ガードについての勉強も。「分かりました。すぐに向かい
ます」隼人は急いで身だしなみを整える。そういえば、…
麗華はもう大丈夫なのだろうか。

2階へ行くと、すでにお昼ご飯の準備ができていた。にして
も、ー豪華すぎる。テーブルはどこまで続いているのか分
からないくらい長く、料理も高級レストランのディナー並
みに豪華だ。「あ、九条くん!ちょっとこっちに来てもらえ
るかな?」そう後ろから声をかけられた。振り返ると、瑠
璃が手招きをしている。言われた通りに着いていくと、そ
こには1人の少年がいた。ー凄い美少年。睫毛が長く、肌も
綺麗で鼻筋が通っている。背は少し低めだが、それも魅力
な可愛い系の美少年だ。少年は、隼人に気づくと驚いた表
情を見せた。「え~っと。じゃあ、まずは鏡夜から九条く
んに自己紹介して」すると少年が恐る恐るというように口
を開く。「二階堂鏡夜、です。よろしくお願いします」顔
を赤らめながら言う。ーあざとい。だが、女子はこういう
のに母性本能が刺激されるんだろうな、と隼人は思う。確
かに可愛いのは分かる。「じゃあ、九条くんもお願いでき
るかな」瑠璃が隼人に視線を動かし言う。「…九条隼人で
す。よろしくお願いします」すると鏡夜も「こちらこそお
願いします」と頭を下げる。「で、この九条くんが例のボ
ディガードなの。鏡夜にも話したよね?」するとその途
端、鏡夜の表情が変わったー気がした。しかし次の瞬間に
は、何事もなかったかのように「そうなんですね」と相槌
を打っている。…俺の勘違いか?「あとの2人なんだけど…
どこにいるんだろう?ーあ、いたいた。詩乃~!ちょっと
こっち来てくれる?」瑠璃が叫んだ先には、ツインテール
の少女。少女は呼ばれると、ツインテールを揺らしてこち
らに小走りでやってきた。「お母さん、どうしたの?っ
て、ええ?この人、誰?」少女は目をまん丸くして言う。
こちらも美少女だ。目がくりくりととても大きい。「詩
乃。この人はね、麗華を守るボディガードなの。九条隼人
くんって言うんだよ。しっかり覚えといてね」詩乃は
「はーいっ」と返事をすると、「よろしくね、お兄ちゃ
ん!」とこちらに向かって笑顔で挨拶をした。…お、お兄
ちゃん!?「~で、この子がもう分かると思うけど、二階堂
詩乃。二階堂家の末っ子ね。あとは…長女がまだ…」する
と、瑠璃は微妙な表情を浮かべた。もしかして、長女っ
て。「あの…すみれさんですか?」瑠璃は目を見開いた。
「え、九条くん、分かるの?」隼人は曖昧に頷いた。「あ
の、朝、祐樹さんの部屋で…」すると次の瞬間、瑠璃の表
情が固まった。「あ、そうなのね。なら紹介はいらない
か。じゃあ、ちょっと用事があるから、また後でね。鏡夜
と詩乃も、頼んだよ」そう言い残し、うつむきながら去っ
ていった。詩乃は「はーいっ」と頷いている。ー俺、なん
かマズイこと言っちゃったかな…。「ねえねえ、お兄ちゃ
んって何歳?」詩乃が隼人の顔を覗き込み尋ねる。ーこの
近さは麗華譲りだ。「ちょっと、詩乃。失礼だよ。九条さ
ん、妹がすみません」鏡夜が頭を下げる。「え~、何そ
れ?だって鏡夜って全然お兄ちゃんっぽくないもん。身長
だって私とそんな変わらないでしょ?」「ちょっと、詩
乃!」ー2人が兄妹喧嘩を始め、どうしようかと思案した、
その時。車椅子に乗せられ、麗華がやってきた。「お姉さ
ま!どうしたんですか?」その途端2人は言い争いをやめ、
鏡夜が焦った様子で麗華に駆け寄る。「ただの貧血よ。い
つも通りのことだから、大丈夫。」麗華が薄く微笑みなが
ら言う。「でも…」「あ、九条くん!」麗華が隼人に向かっ
て手を振る。「さっきはごめんね~。ルームツアー途中
だったのに倒れちゃって…」隼人は首を横に振る。「そん
なの全然っ。無事で良かったです」「ありがとう。九条く
んって優しいのね」麗華はふふ、と笑う。ー優しい!?隼人
はまたも赤面する。本当に天然なのか、このお嬢様は…。
そんな2人の様子を、栗色の髪の美少年が無表情で見つめて
いたー。
👍 [No12] 2020/08/15 11:48info

「…で、ここが図書室。そしてこっちはカラオケルーム。7
階は娯楽用なんだよねぇ」隼人は麗華の話を聞きつつ、二
階堂家の内装に目を奪われていた。家の中に図書室があ
るって…。まじで二階堂家えぐすぎる、と隼人は内心で舌
を巻いた。「…ねえねえ、さっきから私の話ちゃんと聞い
てる?」麗華が隼人の顔を覗き込む。その至近距離に、隼
人は思わず赤面した。「~っ、ちゃんと聞いてますか
らっ。お願いだからそんなにすぐ近づかないでください」
隼人は必死に懇願する。「…ふうん。じゃあ、次は6階行
こ!」そう言って麗華はスキップの勢いで歩き始める。する
と次の瞬間、ーふらりと倒れた。「ー!?大丈夫ですか!?」
隼人は慌てて駆け寄るも、返事はない。麗華は肩でハー
ハーと、苦しそうに息をしている。これはヤバいんじゃ
…。その時、「お嬢様!」初老の男性が、焦った様子でこち
らに向かってやってきた。「お嬢様、大丈夫ですか?」そ
の男性が麗華の肩をトントンと叩く。「う…」麗華は未だ
目を開けず、苦しそうに唸っている。すると、5名ほどの男
性が、担架を持って集まってきた。麗華を担架に乗せ、エ
レベーターに向かう。ー大丈夫なのだろうか。すると先程
の初老の男性が隼人に声をかける。「…九条隼人さん、で
すよね」「…は、はい」隼人が驚きつつも返事をすると、
その男性が深く一礼をした。「私はセバスチャンと申しま
す。古くから二階堂家に仕える、麗華様専用の執事です」
…は、執事!?本当に実在するのか、と隼人は目を疑う。セ
バスチャンは「麗華様のお守り、よろしくお願い致しま
す」とだけ言い残し、その場から去っていった。「え、あ
の、」聞きたいことがまだたくさんあったのに、と隼人は
臍を噛む。…ていうか俺、これから何をすればいいんだ?
隼人がしばらくその場に立ち止まっていると、後ろから肩
を叩かれた。振り向くと、ー麗華に似ている美人な女性。
髪を肩の位置で縛っており、おしとやかな雰囲気だ。「九
条隼人くんだよね?」「…はい、そうですが」ー今までこ
のやり取り何回やったんだ?するとその女性はやっぱり、
と呟いた。「ごめんね、急に話しかけたりして。あ、私の
名前は二階堂瑠璃。麗華の母親です」そう言って微笑む。
ーこう見ると、本当にそっくりだ。麗華のぱっちりとした
茶色い目は母親譲りなのだろう。ん、待て。「…って、母
親!?」びっくりして思わず声を出してしまった。…どう見
ても母親には見えない。隼人も最初、年の離れた姉なのか
と思った。その様子を見て、瑠璃はふふふと笑う。こうい
う仕草も麗華そっくりだ。「…あ、ごめんなさい。失礼な
こと言ってしまって…」瑠璃はいいのよ、と首を振る。
「よく言われるもの。そういえば、麗華のこと。気にしな
くていいからね」「…麗華さん、大丈夫なんですか」する
と瑠璃は静かに頷く。「あの子は昔から、体が弱くて。だ
いぶ良くなってきたんだけど、でもたまに今日みたいな貧
血を起こすこともあるの。でも、しばらく休んだら治るか
ら安心して」…そうだったのか。隼人は麗華を思い出す。
ーすごく、華奢な腕だった。あのお嬢様を、俺は守ってい
かなければいけないんだ。そうそう、と瑠璃が思い出した
ように言う。「本当は今日、歓迎パーティーやるつもり
だったんだけど…たぶんできないから、後ですみれと鏡夜
と詩乃に顔合わせしといてくれるかな?あ、お昼ご飯の時
に1人ずつ挨拶すればいいか。…じゃあ、隼人くん。また後
でね」そう言って、瑠璃は静かに立ち去っていった。隼人
はまたやることがなくなり、取り敢えず5階の自室に戻るこ
とにした。
👍 [No11] 2020/08/14 11:36info

匿名


匿名

「…取り敢えず、出ましょうか」祐樹が仕事に戻ったきり
何も指示を出さないので、麗華は隼人に向かってそう呟い
た。隼人も頷き、2人揃って部屋を出る。廊下をしばらく歩
くと、麗華がそういえば、と振り向き尋ねた。「あなた、
ご出身は?」ご、ご出身?「え…至って普通の一般人です
けど」そうじゃなくて、と麗華が答える。「どこの御曹司
ですの?」…は、御曹司って。漫画の世界でしか聞いたこ
とのない台詞に、隼人は戸惑った。「~本っ当に、普通の
一般人です。多分あなたが思ってるような、どっかの社長
の息子とか、そういうのじゃ全然ないんで」もしかして馬
鹿にする気なのか?と思って麗華の方を見ると、むしろ安
心した様子でため息を吐いていた。「良かった~。またど
こかの御曹司とお見合いとかだったらどうしようかと思っ
たもん」そう言って麗華はふふ、と笑う。ーやっぱり可愛
い。さっきの挨拶から美しいが高飛車なお嬢様だという印
象を受けたが、実際は真逆なようだ。「ねぇねぇ、九条く
ん…だっけ?本当にあなたが私のボディガードなの?」隼
人は「…そうみたいですね」と答える。すると麗華は「ふ
うん」と気のない返事だ。隼人は思いきって聞いてみる。
「…あの、俺がボディガードって、どういうことなんです
か」麗華はさあ?と首をかしげた。「私も分からない」…
え。「そもそも私だって今日知らされたの。明日からよう
やく外に出られるっていうのに、お父さまから呼び出しく
らって。本当に、心臓止まるかと思ったんだから」そう
言って麗華は頬を膨らませる。ー16歳まで外に出てはいけ
ない、っていうのは本当なのか。そういえば。「…祐樹さ
んって、面白い方ですね。良い意味で社長らしくないとい
うか」すると麗華は微妙な表情をした。「そうかなぁ~。
なんか最近私にだけ堅苦しいというか、厳しい感じがする
んだけど…」それは隼人も少し感じていた。それほど麗華
に期待をしているということではないのか、と隼人は思っ
たが、それは心に留めておいた。それより、と麗華が話し
始める。「家の案内しなきゃなんだっけ?こんな家で良い
ならどこまでも案内するよ~。来てきてっ」そう言って麗
華は手を差し出す。…この手はなんだ?麗華は不思議そう
な顔をして手をぶんぶん振る。ーもしかして。「…手、繋
ぐんですか」麗華はええ、と当たり前のように頷く。
「…っ、それは、ちょっと…」カップルじゃあるまい
し…。麗華はそっかあ、と手をしまうと、隼人の服の裾を
引っ張った。「じゃあ行こっ」隼人は思わず頬を赤らめ
る。…計算なのか、天然なのか。ー恐らく後者だろう。こ
んな一般人にあざとく接する必要はないし、あるいは人と
の接し方がまだよく分かっていないのかもしれない。どっ
ちにしろ、可愛いことは事実だ。隼人は未だドキドキしな
がら、麗華に引っ張られつつ二階堂家のルームツアーを始
めた。
👍 [No10] 2020/08/12 11:29info

藤沢が運んできた朝食を食べ終わってしばらくすると、祐
樹が戻ってきた。「九条くん、お待たせ。ごめんね~さっ
きは急に話終わらせちゃって」話というのは、百合薔薇学
園のことか。「いえ、大丈夫です」「でね、そのことなん
だけど。単刀直入に聞くけど、九条くんって運動神経良い
よね?」え、と言葉に詰まる。確かに、自分でいうのもあ
れだが運動神経は物凄く良い自信がある。「正直に言って
いいよ」「まぁ…はい」「うん、だよね。だからOKだよ」
え、何が?時々話が飛躍しすぎて内容を理解できないこと
が(というよりほとんどそうだが)ある。「百合薔薇学園は
ね、スポーツ特待生入学制度があるんだ。多分九条くんは
それを楽々クリアしている。頭が良い人しか入れないって
思ってるかもしれないけど、全然気にしなくて大丈夫だ
よ」祐樹は隼人の疑問を見抜いたように答える。「…で
も、急に入学することってできるんですか」祐樹は一拍置
いて、「できるよ。…だって、二階堂財閥だよ?学校側も
断ろうとしても断れないでしよ」…やっぱりそうか…。
「ー俺、元々行く予定だった高校あるんで。だから高校ま
で用意してもらわなくて大丈夫です」「待って、それはダ
メ」再び祐樹が手で制する。「そもそも九条くんの役割は
ボディガードだよ?麗華と同じ学校行かなくてどうすん
の」祐樹が呆れたように言う。「あの…その麗華さんっ
て」その時。コンコン、と部屋をノックする音がした。
「お父さま。お話を聞きに来ました」インターホンから高
く澄んだ声が聞こえる。おっ、ちょうど良いところに。と
祐樹が呟くと、「ああ、麗華。入りなさい」と急にかしこ
まった様子で言った。すると失礼します、と言う声ととも
に、二階堂麗華が部屋に入ってきた。

ーかわいい。部屋に入ってきた麗華を見て、隼人は一番に
そう感じた。ふわふわと流れる色素の薄い髪。傷ひとつな
い肌は透けるほど白く、茶色く澄んだ目はびっくりするほ
ど大きい。麗華は隼人に気がつくと、大きな目をさらに見
開いた。タイミングを見計らい、祐樹が話し始める。対麗
華の姿勢だったが、隼人も内容を聞いていた。要約する
と、敵に狙われないように、ボディガードをつけて身を守
れ。ということだろう。…いや、これ超重大じゃね?と隼
人が慄いていると、祐樹が名前を言って、と促してきた。
「…九条隼人です。よろしく」…少しクール過ぎたか?昔
から、隼人は外見と相まって受け答えがぶっきらぼうに
なってしまうのが悩みだった。その様子に気を悪くしたの
かどうか、麗華は微妙な表情をしていた。ほら、麗華も。
と祐樹が言うと、麗華は優雅にお辞儀をし、「ごきげんよ
う。二階堂麗華です。九条隼人さん。これからよろしくお
願いしますね」言い終わると、にこ、と笑みを浮かべた。
ー美しい。その一言でしか表せないような優雅な挨拶に、
隼人も思わず見とれてしまっていた。ただ、ー少し嫌味な
ように聞こえるのは気のせいだろうか。すると祐樹はうん
うんと頷き、そのあと慌てたように話し始めた。話の途
中、歓迎パーティーという語句が聞こえ、隼人は目を剥い
た。ー二階堂家、規模でかすぎだろ…。話し終わると祐樹
はそそくさと仕事に戻り、2人は取り残された。横目でち
らっと麗華の方を見ると、不機嫌そうな表情をしている。
このお嬢様を守るなんてー俺にボディガードなんて、でき
るのだろうか。
👍 [No9] 2020/08/07 15:02info

匿名


匿名

ー目覚めると朝だった。なんか変な夢を見たな…ボディ
ガードになるとかなんとか…。ありえねえ、と起き上がる
と、体がマットに沈んだ。…あれ?家の布団ってこんなに
柔らかかったけ。不思議に思って周りを見渡すと、ー何だ
ここ!?どっかの宮殿のような豪華な部屋。さらに、どこか
らか優雅なメロディが流れ始めた。一体どうなってるん
だ、と隼人は頭を抱える。その時、部屋に威圧的なノック
の音が響く。「お早う御座います。荷物を持って来て参り
ました」返事もせずにドアが開き、若い男が入ってきた。
「荷物はここに置いてよろしいでしょうか?」男が尋ね
る。「あの…あなたは誰ですか。そしてその荷物って…」
すると男はああ、と頷き、「私は藤沢と申します。昨日は
如月が案内したそうですね」如月…その名字に聞き覚えが
あった。そうだ、思い出した。昨日剣道の稽古をしていた
途中、その如月に連れられてこのお屋敷にやってきたの
だ。じゃあ、これは…夢じゃないのか。「そしてこの荷物
は、あなたのご両親から頂いたものです。恐らくあなたが
普段使っていたものが詰め込まれているはずです。ちなみ
に私はあなたのお世話係に任命されましたので、しばらく
の間よろしくお願い致します」そう言って藤沢はぺこりと
頭を下げる。いや、ちょっと待て。いろいろ突っ込みどこ
ろがあるが、まず…「両親と会ったんですか」藤沢はそれ
には答えず「そうだ。祐樹さまがあなたのことを呼んでい
らっしゃいました。着替えなど済ませたら10階に向かって
ください」一方的に言い放ち、藤沢は部屋を出ていった。
ー祐樹っていうのは…あの人のことか。隼人は記憶を辿っ
て思い出す。確か二階堂家の社長だ。…社長?俺は、そん
な人と話したのか?非現実的なことが起きすぎて隼人は訳
が分からなくなっていたが、取り敢えず荷物に入っていた
服に着替え、10階に向かうことにした。

エレベーターに乗り込み10階へ行くと、既に扉の前に誰か
が居た。ー恐らくこの家の者だ。長い黒髪をみつあみハー
フアップにしている。その少女は扉をノックすると、部屋
へ入っていった。ー先約があるなら入っちゃいけないよ
な、と隼人が右往左往していると、扉の横のインターホン
から声がした。「九条くん。いるんだろ?入っていい
よ」ー祐樹の声だ。隼人は戸惑いながらも、ノックしてか
ら部屋に入った。
部屋に入ると、祐樹とさっき見かけた黒髪の少女が居た。
祐樹は隼人を見つけると小さく手を振った。「おはよう、
九条くん。昨日はよく眠れた?」隼人は曖昧に頷く。「…
お父さま、この人は誰ですか?」黒髪の少女がいぶかしげ
な様子で祐樹に尋ねる。ー近くで見ると中々の美人だ。ま
た、声の高さからして、少女という歳ではなさそうだ。隼
人の2個上くらいだろうか。祐樹はおどけたように笑い、
「さあ?」と答えた。ーもしかして。「あの…この方が、
二階堂麗華さんですか」すると少女はピク、と眉を動か
し、祐樹はまたしても吹き出した。「アハハ、九条くんっ
て面白いね。この子は違うよ。…まあ、確かにそう考えて
もおかしくないか。この子はすみれっていうんだ。九条く
んがこれから通う百合薔薇学園の生徒会長だよ」百合薔薇
学園って…あの、超名門の!?「…って、どういうことです
か!?俺が百合薔薇学園に通うって…俺、そんな頭が良いわ
けでもないし…」すると祐樹が隼人を手で制した。「その
話はまたあとでね」そう言ってウインクする。「さてと。
たまには朝食でも食べに行きますか」その途端、すみれの
顔がぱあっと輝いた。「本当ですか!?」「ああ、たまには
ね。九条くん、しばらくここで待っててくれるかな。藤沢
にご飯でも持ってこさせるから」祐樹が振り向きざまに言
う。「は、はい。分かりました」祐樹は頷き、すみれとと
もに部屋を出ていった。
👍 [No8] 2020/08/07 13:13info

「うわあ、すげえ…」二階堂家に入ると、隼人は思わず嘆
声を洩らした。本当に家なのか?と疑うくらい広すぎる。
映画などでしか目にしたことがないレッドカーペット。
シャンデリアにエレベーター、装飾も恐らくダイヤモンド
が使われている。さすが二階堂家、と唸ってしまう豪華す
ぎるお屋敷だ。「では九条さん、行きますよ」呆気にとら
れていると、如月が声をかけてきた。「え、どこへ」間髪
入れずに「ご当主さまの元へです」

如月が何度も口にしているご当主さまーその人は10階にい
るらしい。如月に連れられ、エレベーターに乗り込む。
「…あの、如月さん。ご当主さまと言うのは」誰のことで
すか、と尋ねようとすると「私ども使用人は滅多に立ち入
ることのできない場所です。ご当主さまと言葉を交わせる
機会もそうそうありません」と上から被せるようにして遮
られた。仕方ないので「そうなんですか」とだけ言ってう
つむく。しかしこのエレベーター、物凄く広い。軽く50人
くらいは入りそうだ。しばらくして、10階に到着した。エ
レベーターから降りると、目の前に重厚そうな扉が。ーま
さか、この10階一帯が1つの部屋なのか?如月が扉の横に
付いているーインターホンのようなものに向かって声を発
する。「ご当主さま。九条隼人を連れて参りました」する
とご当主さまと見られる者から返答が。「如月か。ご苦
労。今扉を開ける」言い終わると同時に扉が開いた。「で
は九条さん、どうぞ」「え、如月さんは」すると如月は
「ご当主さまは私には用はありません。用があるのは九条
さん、あなたです」そう言って少し微笑んだーように見え
た。気づいた時にはもう居なくなっていた。隼人はごくり
と唾を飲み込むと、意を決して“ご当主さま”の部屋へと進ん
だ。

ー部屋は広かった。そして、大量のコンピュータと、書類
のようなものが大量に積み重なっている。ここがー“ご当主
さま”の部屋。なぜだかそわそわしてしまう。ーここがどこ
かも分からないのに。「君が九条隼人くん?」書類の茂み
から声がした。…この声がご当主さまか?「はい。そうで
すが、」ふと目をやると人影があった。声の主が書類の山
から顔を出す。「やっと見つかった…ずっと探してたんだ
よ、君を」声の主は、40代前半と見られる男だった。ー相
当なイケメンだ。40代特有の暑苦しい感じもなく、爽やか
でスマートなイケメン。男は書類の山から抜け出し、こち
らに向かって歩いてくる。「…あの。あなたが、ご当主さ
まですか」すると男は一瞬目を見開き、ー次の瞬間、吹き
出した。上戸に入ったのか、しばらくの時間笑い続ける。
隼人が戸惑っていると、男はごめんごめん、と涙を拭きな
がら謝る。「いや、ご当主さまってwいつの時代の話だよ
wwそれ、如月が?」隼人は頷く。「なるほどね~如月が。
どうせなら社長って言って欲しかったなァ~」すると今度
は隼人が目を見開く。「え…社長って、まさか」「そう、
そのまさかです」男はニコッと笑い、「ご挨拶が遅くなり
ました。二階堂財閥7代目社長、二階堂祐樹です」隼人は思
わず後ずさりした。ーこの人が、社長!?「そんなびっくり
した顔しないでよ。確かにそんな風に見えないかもだけ
ど、頭はめちゃくちゃ良いんだから」祐樹がおどけたよう
に言う。いや、そんな問題ではなく。俺は今、こんな凄い
人と話してんのか!?「あ~そうそう。時間が無いから本題
いくよ。良い?覚悟して聞いてね」急に祐樹が真面目な顔
になった。隼人も息を呑む。「九条隼人くん。君は…二階
堂麗華のボディガードになってもらいます!」「は?」時を
待たずに怪訝な声が出た。ボディガード?そして…誰?
「いや、あの、ボディガードって…何ですか。そして…二
階堂麗華さん?って、誰なんですか」すると祐樹は何事も
ないように答える。「ボディガードはボディガードだよ?
麗華は私の愛娘」いやだからそうではなく。「もうこれは
決定事項だから。今から嫌とか言うのはナシだよ」そもそ
も知らされていないんですが…。「あと、君は今日から二
階堂家で暮らしてもらうから。部屋は既に手配してある。5
階南の一番奥ね。あとは…麗華か。麗華とは明日の朝にで
も会わせるとしよう。今日はもう疲れたでしょ?休んでて
いいよ。私も仕事に戻らなくちゃいけないから」じゃあま
た明日、と言って祐樹が再び書類の山へと溶け混む。
ちょっと待て。…今、今日からこの家で暮らせ、って言っ
たよな…?
👍 [No7] 2020/08/06 11:57info

匿名


匿名

ー俺は今、何をしているんだ?九条隼人は、この状況に未
だ頭の整理が追いついていなかった。俺は何でこんなお屋
敷にいるんだ?そしてー何でこんなお嬢様のボディガード
になったんだ?考えても考えても答えは見つからない。…
取り敢えず、昨日に時を戻して考えてみよう。

20××年4月5日午後4時。隼人は家の近くの武道場で剣道の
稽古をしていた。隼人は昔から、剣道を始め空手やボクシ
ングなど様々なスポーツを習っている。いずれも県大会で
優勝するレベルの腕前だ。しかし家は特別裕福でもなく、
なぜこんなに習い事をさせるのかと隼人は不思議に思って
いる。高校生になったら、沢山バイトをして親孝行をする
つもりだ。そして、明後日から待ちに待った高校生になれ
る。そう考えているうちに、「一本っ!」バアンッと激しい
音がして試合が終わった。結果は隼人の圧勝だ。「いや~
やっぱ九条には敵わねえよ」そう言って菅野が面を外す。
「いや、なかなか良い動きだったと思うけどな」「フォ
ローあざーすっ。…つーか、あれ誰?」菅野が指差した先
には、スーツを着たサングラスの男。するとその男が隼人
の方へ視線を動かす。ー何だ?「あ、九条ーー!!!ちょっと
この人が用があるって」竹村が大声で隼人を呼ぶ。「…
用?もしかして、九条あの人と知り合い?」菅野が聞いて
くるが、隼人も「いや」と首を横に振るばかりだ。すると
男が隼人にずんずん近づいてくる。え、何だよ!?隼人は後
ずさりするも、男に手首を掴まれる。「…九条隼人さん」
「はい?」急に名前を呼ばれて怪訝な声を出してしまっ
た。「ご当主さまがあなたを探しています。今すぐ来てく
ださい」「え、いやちょっと、」言うや否や隼人は引きず
られるように武道場の外へ出された。「あ…あの、」「こ
れに乗ってください」目の前にはこの場所に似ても似つか
ない高級車ーリムジンだ。まさか、これのことじゃないよ
な?「これってどれですか」「早く乗ってください」男が
リムジンを指差して急かす。ーマジかよ。隼人は急いでリ
ムジンに飛び乗る。「では行きますよ」男がエンジンをか
ける。「…あの、今からどこへ。あと…あなたは誰なんで
すか」「…着くまでしばらくお待ちください」どうやら答
える気はないようだ。隼人はぼんやりと外を眺める。…1時
間くらい経ったのだろうか。隼人はいつの間にか眠ってし
まっていた。「着きましたよ」男が隼人を叩き起こす。隼
人も眠たいながらも目を開ける。すると、「何だここ…」
思わず声を漏らしてしまった。目の前には大きなお屋敷ー
いや、お城と言った方が良いのかもしれないーがそびえ
たっており、恐らくこの家のものだと思われる敷地は、ど
こまで広がっているのか分からない。日本にこんな場所が
あったのか、と思ってしまうくらい豪華すぎる景色だ。
「ご説明が遅くなりました。私二階堂家に仕える如月と申
します。そしてこちらは二階堂家になります」…二階堂。
聞いたことがある。確か日本を代表する大財閥だ。「ここ
で立ち話も何ですので、どうぞ中へお入りください」え。
と一瞬固まった。「…入るんですか」如月はもちろん、と
頷いた。「ご当主さまがお待ちです」だからそのご当主っ
て誰だよ…と思いつつ、こんなことをしていても埒が明か
ない。「分かりました」「では。ーこちら如月だ。…あ
あ、ご命令通り九条隼人を連れてきた。…そうだ。取り敢
えず門を開けてくれ」如月が通話を終えると、ガシャリと
門が開いた。「では、九条さん。お入りください」隼人は
促されるまま二階堂家へ足を踏み入れたー。
👍 [No6] 2020/08/05 15:55info

その後。麗華は朝食を食べ終わると、祐樹の部屋へ向かっ
た。二階堂家は10階建ての超豪邸で、その辺のショッピン
グモールより遥かに広い。そのため移動するだけでも尋常
なくらい時間がかかる。麗華はエレベーターで10階に上が
ると、その場で立ち止まった。重厚な扉が部屋へ入るのを
懸念させる。また、ここに来てどんな話をされるのか不安
になった。ーでも。やってみなきゃ始まらないよね、と最
近漫画を読んで覚えた言葉を思いだし、扉をノックした。
「お父さま。お話を聞きに来ました」二階堂家の各部屋に
はインターホンが付いている。「ああ、麗華。入りなさ
い」麗華は失礼します、と言って部屋へ足を踏み入れた。

部屋へ入るとそこには、見たことの無い茶髪の少年がい
た。ー麗華と同い年くらいだろうか。意思の強そうな目
で、こちらをまじまじと見ている。「麗華。実は話ってい
うのはこのことなんだ。知っている通り、二階堂家の掟で
麗華は明日から外へ出られる。学校にも通えるようにな
る。だけど、それは非常に危険なことだ。敵にも狙われる
ようになる。ーここまでは分かるか?」麗華は頷いた。敵
とは、二階堂家の財産や権力を奪い取ろうとしている家系
のことだ。「だから、ボディガードをつけて身を守るん
だ。ーここまで言えば何となく分かると思うが、この少年
がそのボディガード。ほら、名前を言って」すると、その
少年がゆっくりと口を開く。「…九条隼人です。よろし
く」ー低い声。麗華は真っ先にそう思った。そして、ー嫌
な感じ。「ほら、麗華も」すると麗華は優雅にお辞儀をし
て、「ごきげんよう。二階堂麗華です。九条さん。これか
らよろしくお願いしますね」うっとりするほど美しい笑み
を浮かべた。ーいっそ皮肉なくらいに。隼人は見とれてい
るのかぼうっとしているのか分からない表情を見せた。祐
樹はうんうんと頷くと、あっと驚いた顔になり「そうだ。
仕事に戻らないと」祐樹は日本のトップ・二階堂財閥の社
長だ。こうして気を抜いている内に、兆単位の損失をして
しまうことだって有り得る。「じゃあ2人とも。私は仕事に
戻るから。ーそうだ麗華、隼人くんに家の中を案内してあ
げて。あと、今日の夕方からは歓迎パーティーするから。
その用意もね」か、歓迎パーティー?何だかとんとん拍子
で話が進んでいってる気がする。ふと隼人の方を見ると、
またしてもぼうっとした表情をしていた。ーこんな奴と一
緒に暮らすなんて冗談じゃない。

ーこうして、麗華の波乱の生活が幕を開けた…
👍 [No5] 2020/08/05 10:40info

匿名


匿名

日本を代表する大財閥、二階堂家。この家には何百年も前
から続く掟がある。それはー
*
20××年4月6日午前6時。二階堂家のお屋敷に優雅なメロ
ディが流れる。ー朝か…。二階堂麗華は小さく伸びをし
て、ベッドから起き上がった。大きな窓から差し込んでく
る光が麗華の顔を照らす。ふとカレンダーに目をやると、4
月7日に大きく丸が。それを見て麗華の口元は自然と綻ん
だ。いよいよ明日なんだ…。その時、コンコン、とドアを
叩く音。セバスチャンだ。「どうぞ、入って」するとガ
チャリとドアが開き、優雅な一礼をするとともにセバス
チャンが部屋へ入ってきた。「お嬢様、お早う御座いま
す」「ええセバスチャン、お早う」言いつつ麗華はどこか
嬉しそうな様子で髪をとかし始めた。「…いつもより、ご
機嫌ですな」すると麗華はふふ、と笑い、「当たり前じゃ
ない。だって明日から待ちに待った学校へ行けるのよ!」そ
う。二階堂家の古くからのしきたり、それは“16の歳になる
まで家を出てはいけない”。ー麗華は今までずっと、外の世
界を知らずにこの大きなお屋敷で育ってきたのだ。セバス
チャンは微笑み、一礼をして「ご朝食の用意が出来ており
ます。身なりを整え次第、食堂へお越しください」と言い
残し部屋から去っていった。麗華は未だうきうきした様子
で服を着替え始める。明日から、この豪華で窮屈なお洋服
ではなく、普通の制服で学校に通えるのだ。それを思うと
麗華は、嬉しさが止まらなかった。
*
食堂へ行くと、妹の詩乃、弟の鏡夜が既に座っていた。
「お姉ちゃん、おはよう!」「お姉さま、お早う御座いま
す」2人が揃って挨拶をする。「2人とも、お早う」麗華も
可愛い妹達に挨拶を返した。「お姉ちゃん、何だか嬉しそ
うだね。どうしたの?」と詩乃が問う。答えようとした矢
先、「明日から学校に通えるからだよ。ですよね、お姉さ
ま?」鏡夜が先に問いに答えた。「ええ、そうよ」鏡夜っ
て意外と勘が鋭いんだな、と思っていると、姉のすみれ、
そしてー「お父さま!?」普段は最上階の自室に籠って滅多
に姿を現さない父の祐樹が、朝食を食べに来たのだ。麗華
自身も祐樹の姿を見るのは1ヶ月ぶりくらいかもしれない。
「どうして…お仕事は大丈夫なのですか?」祐樹はごほん
と咳払いをし、「たまには、子ども達とコミュニケーショ
ンをとることも大事だからな。あと、ちょうど良かった。
麗華、あとで私の部屋まで来てくれ」と言った。「分かり
ました、お父さま。あの、」話って…?と聞こうとした矢
先に祐樹は行ってしまった。祐樹と話をしている途中、す
みれが睨みつけるように麗華のことを見ていたのが少し気
になったが、それよりもどんな話なのかが知りたくて仕方
がなかった。ーそれが、後の麗華の生活に大きな影響を与
えることも知らずに……。
👍 [No4] 2020/07/31 14:08info

<登場人物>
・二階堂 麗華(にかいどう れいか)
高1。この物語の主人公。二階堂財閥のご令嬢で、超絶美
少女。おまけに何でもこなせる。みんなの憧れの的だが
少々天然。
・九条 隼人(くじょう はやと)
麗華のボディガード。ぶっきらぼうだが根は優しい。運動
神経抜群。
・西園寺 昴(さいおんじ すばる)
西園寺グループの御曹司で、麗華の幼馴染み。端正な顔立
ちで学園の王子と呼ばれている。
・御影 怜音(みかげ れお)
百合薔薇学園に転校してくる。(そのうち登場)
・橘 舞(たちばな まい)
麗華の友達。雑誌のモデルとして活動している。美人で姉
御肌。
・鳳 葉月(おおとり はづき)
麗華の幼馴染み。ふわふわ系女子だがその裏の顔は…?
・二階堂 祐樹(にかいどう ひろき)
麗華の父。二階堂財閥の社長。
・二階堂 瑠璃(にかいどう るり)
麗華の母。美人で若い。
・二階堂 すみれ(にかいどう すみれ)
麗華の姉。百合薔薇学園の生徒会長。麗華に少し冷たい。
・二階堂 鏡夜(にかいどう きょうや)
麗華の弟。あざとい美少年。
・二階堂 詩乃(にかいどう しの)
麗華の妹。明るくて人懐っこい。麗華と仲良し。
・セバスチャン
二階堂家に仕える麗華専用の執事。

その他諸々
👍 [No3] 2020/07/12 15:08info

匿名


匿名

見つけられた笑
👍 [No2] 2020/07/12 14:32info

小説書きます。
もしこの小説を読んだのだとしても、コメントはお控えくださ
い。(そもそも誰も見ないようなところにつくっているので、
見つけられた人は相当凄い笑)
👍 [No1] 2020/07/12 14:31info

匿名
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