葬式ごっこ事件 鹿川君自殺、葬式ごっこ追悼色紙の全容
いじめを苦に今年2月、「もう君達もバカな事をするのはやめてくれ」の遺書を残して自殺した、東
京・中野富士見中学校2年鹿川裕史君(当時13)について、生前に級友らが行った「葬式ごっ
こ」の追悼色紙の全容が21日までに明らかになった。当時の藤崎南海男担任(58)ら4人の教
諭と、男女生徒41人が署名。「いなくなってよかった」「ざあまあみろ」など、心ない言葉が書き連
ねられている。学校側は当時「葬式ごっこはふざけで、いじめではない」と主張した。色紙を書いた
側には確かに「ごっこ」気分が濃厚だが、加害者意識が乏しい中で同級の男子全員が加わり、被
害者の鹿川君には、逃げ場がない。「現代いじめ」の残酷さを、色紙はありありと物語っている。
「葬式ごっこ」は昨年11月14日、いじめグループの1人が「鹿川が死んだことにしよう」と発案。中
央に緑色のフェルトペンで「鹿川君へ さようなら」と書いた色紙(27×24センチ)が教室内などを回
った。署名した生徒は、同級の男子23人全員と、女子18人のうち10人、他クラスの男子8人の
計41人。2、3人連名の言葉もあった。書かなかった同級の女子8人には、「鹿川君がかわいそう
だ」といい合って拒んだ者と、色紙が回らなかった者とがいた。 中には「かわいそう」などと、いたわりを
感じさせる言葉もあるが、約半数は「パンチパーマにしろ」など、いまの中学生のさむざむとした心の
内をうかがわせる内容。しかも、これらの言葉を、いじめグループに属さない普通の生徒が書いてい
る。 周囲に、はやし立てる同調者と、自分が代わりの標的になるのを恐れる傍観者がいて、止め
る子がいない--というのが「現代いじめ」の特徴だが、この色紙の場合も、発案者の意図に乗った
言葉や、いくぶん消極的な言葉が中央の「鹿川君」を取り巻き、4教諭をふくめて、だれもこの「ごっ
こ」を止めなかった。「つかってゴメンね」「つかわれるやつが……」という言葉がある。鹿川君はいじめ
グループの最下位のツカイッパ(使い走り)を務めていた。「これは愛のムチだった」と書いたのはいじめ
グループの1人だが、鹿川君が「その立場」を苦にしていたのを、彼は認識していたことになる。色紙
の日付の翌日、鹿川君が登校する前に、色紙は鹿川君の机に飾られ、牛乳瓶に差した花とミカン
、アメが供えられ、線香がたかれた。遅刻してきた鹿川君は「なんだ、これー」といい、笑いを浮かべた
が、やがて黙りこんだ。帰宅後、父雅弘さん(43)に「こんなの、書かれちゃった」と色紙を見せた。
「先生も書いてんだ。これ、そうだよ」と指で示した。父は「葬式ごっこ」の全容を知らず、色紙だけと
思い、また「先生が書いてる以上」とも思い、息子の肩を抱いて「お前は生きてるんだ。心機一転、
やり直せ、という意味だろ」といった、という。学校側は「葬式ごっこ」がいじめでない、という理由に「暴
力を伴わなかった」ことをあげた。同月下旬から、鹿川君は殴られ始める。約2カ月後の2月1日、
父親の郷里の岩手県に行って生命を絶った。遺書には「このままじゃ『生きジゴク』になっちゃうよ」と
もあった。署名した4教諭は生徒に「ジョーク、ジョーク」「(テレビ番組の)ドッキリ(カメラ)に使うから」な
どといわれ、求めに応じた。藤崎担任は鹿川君の死後、遺族に「色紙を返してほしい」といい、ホーム
ルームで「なかったことにしてほしい」といった。4教諭は3月、諭旨退職、減給、戒告の処分を受け、
うち3教諭は教育界を去った。
◆追悼色紙の言葉
「かなしいよ」(藤崎南海男担任のサイン)
「さようなら」(上島聡雄教諭)
「やすらかに」(小林新教諭)
(以下、カッコなしは生徒、氏名は省きました)
「天国にいったらパンチパーマにしろ」
「さようなら」
「さようなら」
「かわいそうな ししくん」
「いなくなってよかった」
「やすらかにねむれ」
「なんでもいいよ」
「もう部屋のぞかれないですむ」
「さよ-ならー」
「バンザーイ」
「昨日まで元気だった君がまさかこんなことになるなんて、親友の僕には信じられない」
「いい思い出ありがとう」
「さようなら」
「さようなら」
「君の元気な顔がもう見られない」
「手紙くれよな」
「君はいいやつだったね」
「君のことはわすれない」
「さようなら」
「かなしいよ」
「今までつかってゴメンね これは愛のムチだったんだよ」
「ラッキーじゃん」
「LONELY EVERYBO